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はじめに (必読)

はじめまして!
訪問いただきありがとうございます。

コールドブリューと申します。
コブとでも呼んでください。

東方神起 ユノとチャンミンへの愛が深すぎて、妄想を脳内のみに留めておけなくなってしまった変態ビギストです。

小説を書くのも、ブログを開設するのもこれが初めて。

手探りしながらの執筆につき、支離滅裂、辻褄の合わない点など多々あると思います。
ど素人の戯れ言と思い、どうかお許しください。

お名前のみを借りた作品です。
現実とは一切関係ありません。
ご本人は無関係です。

妄想は妄想と割りきって楽しんでいただける方のみ、閲覧ください。

ホミンのみの物語です。

不定期更新です。

誹謗、中傷は甘んじて受けますが、返信はできないかもしれません。

大切な作品です。盗用は絶対におやめください。

以上ご理解いただける方のみ、ご覧ください。
どうぞ宜しくお願いいたします。




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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

パンタ・レイ 27

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27


海が近い藤沢に住んでいるタダは現地集合。
ユノがレンタカーを運転し、助手席にショウタが乗る男ばかりの車中は、恋愛話で盛り上がった。

「タダさんいいっすよね……。日焼けした肌に真っ黒な瞳が綺麗で……はぁ……。」

ショウタはタダに片想い中だった。
仕事で厳しい言葉を浴びせられるうち、ショウタの微妙なM気質が刺激されたらしい。

「綺麗で取っ付きにくい人かと思ってましたけど、明るくて話しやすいし……。でもなぁ……ユノさんがライバルじゃなぁ……。」

「は?なんで俺がライバルなんだよ。」

「気づいてないんですか!?タダさん、ユノさんのこと、ときめいた目で見てるじゃないですか!」

「そうか??」

「俺には分かります。あれは惚れてる目です。でも……ユノさんはタダさんのこと眼中にないですよね?」

「チームの仲間としてしか……。」

「じゃ、応援してください!俺今日頑張るんで!!」

「応援て言われてもなぁ。」

「ユノさんはチャンミンと波間でイチャイチャしててくださいよ!俺、真剣にタダさんにサーフィン教えて貰いますから!」

な、波間で。
い、イチャイチャ?

悪意のないショウタの発言にドキドキしてユノは外に視線を逃し、チャンミンはシートに隠れてリュックを抱き締めた。


8月に入ったばかりの週末。
鎌倉の海は夏真っ盛りだ。

砂浜で騒ぐ大学生やカップルの水着姿に、チャンミンは過度に反応してみせた。

「うわっ。あの子ナイスバディ!」

「チャンミンて見た目重視だな。俺は、あんなボインよりテキパキしてるタダさんがいい。」

「あのぷりんとしたお尻がいいじゃないですか。わっ、わっ!あの子半分お尻見えてますよ!」

そんな会話を耳にしても凹むだけ。
ユノはサーフショップに大股で歩いた。

タダはもう店内で待っていて、ちゃきちゃきと3人に指示を出す。

上半身のみウェットスーツで、下は水着のハーフパンツに着替えた面々は、タダの言うがままにセミロングのボードを抱え、ビーチに立った。

下が水着だったため、ケイコが指摘したもっこりは無かったが、ウェットスーツ越しにも明瞭なユノの肩から腰へのラインは、チャンミンを赤面させるに十分。

広い肩幅が強調され男らしいのに、細い腰は艶かしい。

水着女子に集中しようとしても、つい視線はユノを追う。

「ユノさん……ほんとスタイルいいですね。」

ショウタに言われ、ユノはかぶりを振った。

「それ言うならタダさんだろ。無駄なもんがついてなくて、健康美って感じ。ショウタは……可愛いな。」

「む……。俺は平均的なだけです。ユノさんがデカ過ぎるんです!」

ユノと並ぶと見上げる形になってしまうショウタは、恨めしそうにチャンミンに視線を移した。

「チャンミンもデカイけど……。ウェストのあたりが女子みたい。」

「っ……やめてください!気にしてるんだから!」

「いや、ほんといいぞ。チャンミンなら男でも抱ける。」

「ふふ、ふざけないでください!!僕は女性にしか興味がない!!」

会話の流れと、ユノへのドキドキを一蹴したいチャンミンの声はいつもより強かった。

「ジョークも通用しないのか。つまんない奴だなほんと。タダさん!こんな奴ほっといてサーフィンやろ!!」

今の発言はいただけない。
あれじゃ、ユノさんを全否定してるみたいじゃないか。
僕のバカ……。

申し訳ない気持ちでいっぱいになったチャンミンは、ユノを見ることができなくなった。

ユノはチャンミンの発言に傷ついてはいたが、その後しゅんとして俯きがちな事の方が気になる。

タダのサーフィン指導は、ストレッチからだった。

「いててて。」

「うわ。ユノさん身体硬っ!!」

「やめろ!いてーーーっ!」

ショウタに背中を押さえられ、悶絶するユノにタダが大笑いし、チャンミンも困り顔ながら、笑顔を覗かせる。

ユノはほっと安心してショウタになされるがままにした。

「ショウタお前……どSかどMかどっちだよ!」

「いつも怒られてますからね。たまには反撃しないと。」

「わっ、よせ!脚つる!!」

「よしなさいよバカ男!!サーフィンはふざけてやるもんじゃないんだからね!ボードが当たったらケガするし、死ぬ人だっているのよ!真剣にやって!!」

「あ……はい……。すんません。」

タダに叱られて従順な生徒になったショウタは、それから何かにつけてタダに質問を投げ掛け、2人の世界を作ろうと必死だ。

砂浜に置いたサーフボードの上で基本姿勢を習った後、海に入ったものの、男性陣は悪戦苦闘した。

「波と同じスピードで手で漕いで!」

全力でパドリングして波に追いつく頃には海面は落ち着いていて、なかなかボードに乗ってテイクオフするに至らない。

ベテランサーファーを避けてビーチの端で練習しているため、小さな波しか来ず、チャンス自体限られていた。

1時間もボードの上で揺られ、チャンミンはそろそろ飽きてきた。

「みんな休憩しててください。私、ちょっと向こうで大きい波に乗ってくるから。」

「俺も行く!」

「え……。邪魔しないでよ?」

ショウタとタダが離れ、ユノはチャンミンを車に誘った。

「夏でもずっと水に入ってると冷えるな。温かいスープ持って来たから飲まないか?」

こくんと頷いたチャンミンが後ろからついてくるだけで、ユノはときめいた。

チャンミンがノンケなのは分かっているけれど、タクミに靡いた気持ちはもう落ち着き、2人でビーチに居ることが純粋に嬉しい。

インスタントのコンソメスープを溶かしただけだとユノは告げてチャンミンにカップを渡す。

一口飲んで、チャンミンは「ほぅ」と息を吐いた。

「美味しい……。」

「だろ?これ、俺のいつもの朝ごはん。」

「スープだけですか?」

「朝は食欲なくて。」

「あんまり寝てないからじゃないです?僕なんて、トースト2枚は食べますよ。」

「いつも3時間くらいしか寝ないからなぁ。」

「ユノさんは働きすぎです。ずっと仕事してません?」

「好きだからさ。仕事が楽しいんだ。」

その言葉に嘘はない。
でも、大学生の頃はスポーツもしていたし、バイト仲間と夜中まで遊ぶこともあった。恋だって……。

ユノはふと、今の自分を顧みた。

社会人になり、周囲に認められる存在になってから、恋に臆病になった。東方堂に入社してから、がむしゃらに誰かを好きになった記憶が思いあたらない。

社会的であることが恋より大切になり、気持ちを押さえ込むことが上手くなった。

そんな自分が、チャンミンの一挙手一投足に浮いたり沈んだりしている。翻弄される心の軌跡が、とても尊いものに思えた。

波は寄せては返す。
風のない晴天でも、波はある。
乗ってみたい。

スープのカップを置いて、ユノはサーフボードをそっと撫で、チャンミンに微笑んだ。

「俺、どうしても乗ってみたい。」

「え……?」

「折角来たから、テイクオフしないとな。」

「もう休憩終わりですか?」

「ああ。チャンミンは休んでていいぞ。俺行ってくる。」

「……ぼ、僕も行きます。」

チャンミンはもうサーフィンはいいとボードは置いたままにしたが、それでもユノと一緒に海に入り、そばで応援してくれた。

少しだけ波の荒い場所に入り、ユノはパドリングしてはボードに飛び乗り、何度も海面に落ちる。

今度こそ。

海原を見つめるユノに向かって、今までになく大きな波が近づいてきて、ユノは全力で手を動かした。
波と並び、ボードを掴み、両足にぐっと力を入れる。

「あ。」

ユノは波と一緒に風を切った。

出来た!
乗れた!

そのまま波打ち際まで風を楽しみ、ボードから降りて振り返った先に、チャンミンの姿は無かった。




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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

パンタ・レイ 26

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26


これは……現実か?
それともいつもの妄想か?
ユノさんが……僕を背後からハグ……してる。

ユノさんて……二の腕太くて逞しい……。
胸板は程よい固さで、柔らか過ぎず、弾力がある。僕の好みのマットみたいな……。このまま埋もれて寝ちゃいたい……。



じゃ、なーーーーーーい!!!

数秒に満たぬ抱擁の間に、チャンミンはユノの胸の感触を堪能し、そして、我に返った。

僕は乙女ではない!
ネコでもない!!
ときめいてどうする!!!

「あざっす!!お疲れっす!!」

突如ユノの腕の中から飛び出し、部活終わりの高校生みたいに挨拶したチャンミン。
ユノはぽかんと口を開けた。

「……あ……ああ。お疲れ様。」

「お先に失礼しやっす!」

「…………。」

片手に自分が買ったコンビニの袋。片手にユノに貰った紙袋を下げ、がに股でアパートに消えたチャンミンは、次の日は会社に出社した。

だが、その様子は今までと違った。

「ねぇケイコさん。さっきチャンミン君見ました?」

「ええ……。私は衝撃を受けているところよ。」

「私にフラレておかしくなっちゃったのかな。」

「……方向性を血迷った感じだったわね。」

「はい……。別れて良かった。今時あんな男子モテませんよね。」

出社したチャンミンは、髪を昭和のスターみたいにかっちり上げ、うっすら髭を生やし、胸元のボタンを2つ開けていた。

クールビズのシーズン、東方堂でネクタイは必須ではないが、ワイルドラテン系はいかがなものか。

それに、器のみワイルドを繕っているが、中身はバンビさながらのぱっちりお目目と細い身体。慣れないハロウィーンの仮装でもしたオタク感が漂う。

あの格好が似合うのは、アジア広しと言え、かのチェ・シウォンくらいなもの。

幸い、その日の午前中ユノは制作部のメンバーと外出していて、露な胸元を拝むことはなかったが、ショウタとタダはチャンミンのイメチェンに戦慄した。

「ちゃ、チャンミン!熱でおかしくなったのか!?」

「折角可愛いのに!台無しよ!!」

「そうだぞ!ビュティアスでもチャンミンは可愛いって騒がれてるのに!」

「そうよ!それに、韓国はどうか知らないけど、胸元開けるのはダメよ!」

しゅんとしてボタンを留め、チャンミンは救いを求めた。

「男らしくなりたいんです!」

「は……。」

ショウタは、その発言が既に男らしくないと思ったが、チャンミンの瞳がうるうるしているので黙っておいた。

「可愛いって言われたくない!カッコ良くなりたいんです!!」

「……はぁ?」

タダは、こんなに可愛い顔面を持って生まれたくせに贅沢な、と思ったが、一歩引いてチャンミンを眺め、提案した。

「服装どうこうじゃなくて、その細い身体を何とかしたら?運動してる?」

「いえ。」

「運動もしないで広告代理店の営業なんか続けてたら早死にするわよ!チャンミン君趣味は?」

「……読書です。」

読書と言っても、最近はもっぱらBL漫画。それがいけなかったのだ。

男たるもの、アクティブでなければならない。

「タダさんのご趣味はサーフィンですよね。」

「チャンミン君もやってみる?」

「……教えて貰えますか?」

「俺も!俺もやってみたい!みんなで行きたい!!」

ショウタが勝手に盛り上がり、ユノにも声を掛けると言い出す。

面倒なことになった。
ユノと距離を取りたいのに、休日まで一緒に居るのは避けたい。

「ユノさんは忙しいんじゃ……。」

「ユノさんだってたまには息抜きしないと駄目だろ!ユノさんこそ趣味が必要だ!」

「……ユノさんとサーフィン……楽しそう……。」

隠れユノファンのタダはショウタの味方だった。

かくして、昼に帰って来たユノをショウタとタダが捕まえ、サーフィンの約束を取り付ける。

「チャンミンも行くのか?体調はもう大丈夫なのか?」

ユノは今日初めてチャンミンと顔を合わせ、固まった。

どうしたチャンミン!
髭!
オールバック!!

目を見開いて凝視され、チャンミンはもじもじした。

「体調はもう大丈夫です……。あの、昨日はありがとうございました。」

「え?昨日って何なに?」

首を突っ込んだショウタを無視し、ユノは部屋に入ってデスクをゴソゴソすると、シェーバーを持って戻ってきた。

「チャンミン髭……剃りなさい。」

「あ……。」

「営業だろ。今日は社内かもしれないが、突然外に出なきゃいけないこともある。いつクライアントに会っても大丈夫な状態にしておきなさい。」

男らしくあろうとしたのに、ユノに男らしく怒られ、チャンミンは「きゅうん……」と耳を垂らした子犬みたいになった。

かっ、かーわーいーいー!!!

ユノは胸中で叫んだが、そこはさすがに東方堂のエース。厳しい態度を貫く。

「ショウタ。新人指導がなってない。見た目がどんなに大事か分かってるだろ!?」

道連れにショウタまで怒られ、いたたまれなくなる。チャンミンは「申し訳ありません!」とトイレに走った。

「はぁ……。」

ため息が止まらない。
男らしくしようとして、空回り。

「ユノさんと漫画のせいだ……。」

髭を剃った後、コンビニにランチを買いに出たチャンミンは、玄関でケイコに捕まった。

「あらチャンミン君。まともな見た目に戻ったじゃない。」

「団長……恨みます。」

「は?」

「ケイコさんのせいで、僕は変になってしまいました。」

「……変?」

「僕は……男らしくありたいんです!」

「……ちょっと……詳しく聞かせてちょうだい。」

コンビニでおにぎりを購入し、ケイコはチャンミンを木陰のベンチに誘った。

そこでチャンミンがぽつぽつと語った内容は、ケイコにとって萌えの塊だった。

抱き締められる妄想に悩まされているとはとても言えなかったが、ユノが漫画の主人公に見えて困っていると、チャンミンは打ち明けたのだ。

「まともに顔が見れません。」

「そ、それは、カッコ良すぎて?」

「……カッコいいのは確かです……。僕はユノさんみたいになりたいのです。」

「ユノ君みたいなゲイに……?」

「違いますっ!!!やめてください!!!」

「冗談よ。そんなにムキにならないでよ。」

「む……。」

「ユノ君が主人公に見えたところで、悩むようなこと?別にいいじゃない。」

「よくありません!!あんな漫画読んだせいで、ユノさんとタクミさんが一緒に居た時も、生々しい想像が……。」

「エロイ想像?2人が愛し合ってる?」

「あーーーっ!もう!!やめてください!!」

真っ赤になって顔を覆うチャンミンにケイコはほくそ笑んだ。

すっごく意識してるじゃない。
チャンミン君の頭の中、ユノ君だらけだわ。
うふふふ。
いい感じ。

「週末サーフィン行くことになっちゃったんです!全身ウェットスーツのユノさんなんて見られません!!」

「あー。身体のラインが見えちゃうかもね。あそこが気になるわよねぇ。」

「け、ケイコさん!!!」

「あっと。失礼。」

品のある大人な女性と思っていたが、本性を現し始めたケイコはチャンミンのイメージとかけ離れた悪人面をしている。

なんか……。
呪われそう。

チャンミンの第6感は正しかった。
ケイコは「惚れちゃいな。もう、勢いで抱かれちゃいな!犯されちゃえ!」と心の中で唱えていた。

早めにランチ休憩を切り上げ、ケイコから逃げるように会社に駆け込んだチャンミンは、やはり体調が万全ではないと嘘をついて、サーフィンを断ろうとした。

だが、オフィスではタダが電話をかけて用具のレンタルを馴染みのショップに依頼しているし、ユノに車の運転を頼んだショウタは、快諾を得て万歳していた。

断れない雰囲気。

結局チャンミンは、週末ユノが運転する車の後部座席に乗って、鎌倉の海に向かった。

その日彼には、様々な突撃が待ち受けていた。




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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

パンタ・レイ 25

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ユノの心臓は、ドクドクと拍動した。

タクミは魅力的だ。
最低な俺にフラレても、自分を省みた。
スターになれる、たった一握りの人間の強さを持っている。

それでも俺はタクミとは付き合えない。
作った可愛さは欲しくない。
素直に表情をクルクル変化させて、戸惑ったり、恥ずかしがったり、にやけたり、花みたいに笑うチャンミンが可愛くて仕方ないんだ。


ユノがスタジオに戻った時には、もう、終電間際だった。
チームのメンバーを急いで解散させ、チャンミンだけ呼び止める。

「ごめん。ちょっとだけ残ってくれるか?」

熱があるんじゃないかと心配してくれていたのに、仕事を頼むのかとがっくりしたチャンミンは、玄関ロビーで待たされた。

終電にはもう間に合わない。
早く帰りたいな。
見学していただけなのに、今日は疲れた。

入口を人が出入りする度、7月のねっとりとした夜の空気がチャンミンの鼻をつく。

20分も待っただろうか。
膝を抱えて座るチャンミンの元に現れたユノは、完全に帰り支度を整えていた。

「え、ユノさん仕事は……?」

「終わったよ。挨拶回りしてきた。」

「……僕は……何を?」

「俺タクシーで帰るから。送るよ。」

「へ……。」

「体調良くないみたいだから。乗ってけよ。」

「……っ……。ユノさん……川崎じゃ……。」

「チャンミンの家、どこ?」

「中野坂上……です。」

「あぁ、大江戸線で通ってるんだね。」

ユノに促されてスタジオを出ると、もうタクシーは待っていた。

チャンミンは、目眩がした。

川崎と中野坂上では、全然方向が違う。中野は新宿方面で、川崎は神奈川だ。送るような場所じゃない。
それなのに、ユノは迷わずタクシーに乗り込み、「早くおいで!」と急かす。

今日1番の胸の痛みが襲い、呼吸が不規則になる。

ユノはチャンミンを覗き込んで背中を擦った。

「やっぱりしんどいんだろ?無理せずに。明日も辛かったら休めよ。」

「はい……。」

そう返事するのがやっとだ。
体調は悪くなんてない。
会話だって普通にできるはず。
だが、チャンミンは自分の身体をコントロールできなかった。

タクシーがアパート前に停車するまでの約40分。何も喋ることができなかった。

「ありがとうございました。」

タクシーを降りて、絞り出した声は掠れていた。

「ゆっくり寝て。」と手を振るユノにお辞儀をしたチャンミンは、玄関の自動扉が閉まっても、タクシーが止まっているエンジン音を背中に感じて心を抉られる。

中に入るまで見ていてくれている。
部屋番号を押し、中扉が開いて振り返ったチャンミンの顔は真っ赤だ。

タクシーの中は見えなかったけれど、もう1度お辞儀して、逃げるようにエレベーターに乗り、部屋に入るなりズルズルとしゃがみ込んだ。

「ユノさん……。」

優しさが痛い。
朝からスーツのユノに見とれたことも、現場でタクミに嫉妬したことも、今タクシーで送ってくれたことへの喜びも、1日の全てが痛みになって心臓を突き刺している。

「……憧れてるだけ……。」

何度も自分に言い聞かせるのに、ユノが背後から抱き締めてくれる妄想は消えない。

チャンミンは自分を抱き締めて、ユノの気配を消そうと懸命に頭を振った。

「違う。違うって……。どうなってんだよ僕の頭は!!僕はゲイじゃない!セクシーな女の子が大好きだろ!!」

シャワーを浴びても、ベッドに入っても、ユノの幻影は消えてくれなかった。

身体を丸めてシーツにくるまるチャンミンを、ユノの腕が包む。

頭が異様に冴えて一睡も眠れず、次の日、チャンミンは会社を休んだ。

体調が悪いと勘違いされたのをそのまま理由にして、熱があると連絡を入れる。
ユノには連絡できず、ショウタにメールした。

『ユノさんに伝えといた!お大事にって!』

メールの文面にその名前を見るだけで胸の痛みがぶり返し、1日ベッドで悶絶したチャンミンは、結局次の日も会社に行けなかった。

駄目だ。
鬱だ。
サボりだ。

男の上司が気になって会社をサボるなんて、恥ずかしいやら情けないやら。
だが、どんなに胸は痛くても、チャンミンの強靭なお腹は食事を求めた。

冷蔵庫の食料は2日目の朝には既に空っぽ。
補給するしかない。

夜になってとうとう我慢できなくなったチャンミンは、2日ぶりにアパートを出て、コンビニに向かった。

その帰り道。プラプラと歩いてアパートの玄関が見えた時、チャンミンははたと立ち止まった。

スマホを肩に挟み、紙袋を持って立っているスーツの男性。
あんなに顔の小さいモデルみたいなシルエットは、ユノ以外にない。

チャンミンのポケットでスマホが振動した。

咄嗟に電柱に隠れ、『ユノヒョン』と表示された画面を見つめる。留守電になる直前で震える指は通話をタップした。

「あ……え…っと……。」

『………チャンミン?寝てたか?』

「いえ……。」

『何も食べてないんじゃないかと思って、食料持って来たんだけど。』

アパートを見上げて電話しているユノの後ろ姿をそっと覗き、何と答えるべきか悩む。最適な答えは見つからない。
ユノが来てくれて嬉しいが、部屋に居ないとバレるのは嫌だ。かと言って、玄関に出ることもできない重病と思われても困る。

チャンミンは沈黙した。

『……ごめん。体調悪いのに……迷惑だったな。』

「違います!あの……。」

その時、車が通過し、ユノが道路を振り返った。

『……チャンミン今……外?』

バレた。
このまま電柱に隠れているわけにいかない。
チャンミンは勇気を振り絞って顔を出した。

辺りを見回していたユノはすぐ気づき、ちょっと笑った。
電話は繋がったまま、数十メートルの距離を、チャンミンは下を向いてゆっくり歩いた。

「お腹が空いて……コンビニ行ってたんです。」

『……出歩けるなら良かった。』

「2日も休んで申し訳ありません。」

『もう、熱は?』

「ありません……。」

最初からない。
熱に冒されたのは心だけ。

ユノの前に立ち、漸く電話を切ったチャンミンは、面と向かったら何を話していいか分からなって口をつぐんだ。

センサーが反応し、外側の自動ドアが開いては閉じる。

「CMさ、いい映像撮れてるぞ。昨日、今日と制作会社に行ってたんだ。アニメーションと合成する前だけど、実写だけでも夢の世界みたいなんだ。」

ユノが仕事の話を切り出し、それをもっと聞いていたいと思った。

開いたままになった自動ドアの向こうにある部屋番号のパネルを押せば、内側の自動ドアが開く。
チャンミンは、その中にユノを導きたい衝動に駆られた。

「少しだけ、上がって行きませんか?コーヒー淹れます。」

ユノは首を横に振って手にしていた袋を差し出す。

「病人にご馳走になるわけに行かないよ。俺は会社に戻るから。明日は……来れるな?」

「ユノさん!」

大きな声が出てしまった。

「牛乳買って来たんです!アイスカフェオレは?」

「……いや……。」

「インスタントで溶かすだけですけど……。会社に戻るって……今夜は徹夜ですか?だったら!一杯くらい休憩してください!」

ユノに帰って欲しくなかった。
チャンミンの懇願みたいな誘いに、すぐ帰ろうと思っていたユノの心が揺らぐ。

「じゃあ……一杯だけ。貰おうかな。」

「……あ。」

無我夢中で誘ってしまったが、いざ了承されるや、チャンミンは枕元に並んだBL漫画の存在を思い出した。

「ちょちょちょっと、部屋片付けるから待っててください。」

「は?チャンミン……まじでいいって。じゃあ俺行くから。また明日!今夜もしっかり休めよ!」

「……ユノさん!」

玄関ロビーと道路を繋ぐ数段の階段を降りたユノを、チャンミンは咄嗟に追いかけようとした。
そして、カッコ悪いことに、長い脚がもつれてバランスを崩す。

「わっ!」

お尻から地面に落ちる。

そう思った瞬間、チャンミンの身体は厚い胸にぶつかって宙に浮き、ふわりと着地した。

後ろから抱き締めて、背中を支えるユノが「大丈夫?」と耳元で囁き、チャンミンの脳内は真っ白い光の閃光でチカチカした。




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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

パンタ・レイ 24

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CM撮影当日、ユノは大切な日にしか着ないオーダーメイドのスーツに身を包んだ。

重要な仕事の日に、テンションを上げるための武装だ。
だが、今日の目標は撮影の後にある。

仕事の時は基本コンタクトをしているユノが、眼鏡をかけたのはそのため。
撮影後、タクミを誘い、部屋に連れてくる。

冷蔵庫にバラを1輪隠した。
撮影の疲れをねぎらい、シャンパンを用意すると見せかけてバラを渡す。
タクミはバラを握って感動するだろう。
そこでおもむろに眼鏡を外し、付き合おうと告げて抱き締める。

猛烈に臭いシナリオだ。

「今日こそ……白黒つける!」

意気込んで会社に向かったユノの心は、またしても猛烈にかき乱されることになった。

出社直後から、ユノはチャンミンに視線を奪われた。

チャンミンは、前髪を下ろし、眼鏡を外し、身体にぴったりフィットするスーツを着ていた。

「チャンミン君……今日気合い入ってない?」

タダに指摘され、チャンミンは頬を染める。

「撮影なんて初めてだから、どうしていいか分からなくて。プレゼンした時にユノさんにアドバイスされた感じにしました。」

「……タクミ並にイケてる……。スタイルいいもんねぇ……。スカウトされたりして。」

「えへへ。やめてくださいよー。」

ユノのアドバイスは、そのままユノの好みだ。
凛々しい眉が隠れ、黒目をクルクルさせているチャンミンはもろタイプ。

気がそがれる。
見ないようにしよう……。

自室に入ったユノを、チャンミンは唇を噛んで見つめた。

今日のユノは、漫画の主人公そのものだ。
社長みたいな風格があって、アーモンドみたいに左右美しく整った瞳が煌めく。

黒髪からは気力、輪郭のくっきりした唇からは色気、真っ直ぐな鼻筋からは知性が滲み、見る者を圧倒する。

「はぁ……。」

「なんだチャンミン、ため息ついて。あ、失恋して凹んでるんだっけ。」

「ショウタさん、そういうの、一種のパワハラです。それに僕は凹んでなどいません。モテるので、彼女くらいすぐできます。」

「……うざ!むかつく!」

見た目だけは可愛い後輩にムキになったショウタをタダがなだめているところに、ユノが出てきた。

「行くぞ。」

颯爽と歩き出したユノにみんながついていく。
チャンミンはその後ろ姿に惚れ惚れした。

僕は断じてゲイじゃないけど、ユノさんはカッコいい!

変な妄想してしまうのは、ユノさんが素敵過ぎるからだ。
ずっと同じチームだったらいいな。
ずっとこの背中を追いかけていたいな。

離れ離れになる秋はまだ先なのに、このチーム以外で働いたことのないチャンミンには、既に別れが怖くなっていた。


CM撮影を行うのは、東方堂グループ会社の撮影班で、今日は社会科見学の学生みたいなものだった。

見慣れない機材がところ狭しと並ぶスタジオの後ろで、邪魔にならないように見守るのみ。

ユノは監督と打ち合わせした後、セットを隅々まで確認した。

「あの壁掛け時計の時間、0時30分にしてくれる?23時では20代女性が寝るには早いからさ。」

「あ、すみません!」

「ADさんだともっと遅いよね。あ、届く?俺がやろうか?」

制作会社の女性ADがユノに見とれる。
タダが少しだけ肩を落としたことに、隣にいたチャンミンは気づいた。

「タダさんて……ユノさんのこと……。」

「……言わないで。」

「……ごめんなさい。」

「憧れてるだけ……。誰にでも優しいから、勘違いしちゃ駄目だって、自分を戒めてるの。」

「分かります。僕も、憧れますもん。」

「ふふ。そ?」

僕も憧れてる。
だけ……。

言い聞かせるようにチャンミンが胸を押さえた時、タクミがスタジオ入りした。

拍手で迎えられたタクミは、まさに王子様だった。

タクミは一直線にユノを目指し、ユノも微笑んで迎える。

距離が近すぎる。
そんなにくっついて会話しなくていいんじゃないのか?

セットに立つユノを、タクミが今にも抱きつきそうな距離で見上げる様は、チャンミンの心に小さな棘を刺す。

痛い。
痛いな。
ユノさんと僕は同じチームなのに、タクミさんの方がずっと近くに居る。

なんだよこの気持ち。
やだ。
なんかやだ。

撮影の間、ユノの視線はずっとタクミに独占され、こちらを振り返ることはない。
映像を確認する時はユノの真横にタクミが並び、腕を密着させて覗き込む。

ユノから褒められたのだろうか。
背中をポンと叩かれ、タクミは満面の笑顔になった。

ユノより背が高いのに、腰を屈めて上目遣いで笑いかけるタクミが、チャンミンには鬱陶しく見えた。

「セット調整入りまーす!」

短い休憩が入り、チャンミンはスタジオを飛び出した。

僕はどうかしてる。

心臓の痛みの原因が明確で、チャンミンは頭を抱えた。

タクミに嫉妬している。
妄想で抱き締めてくれていたユノを、タクミに奪われたようで胸が痛い。

「あぁ……。」

喫煙所に行こうと外に出たユノは、廊下の椅子に腰掛け、顔を覆ったチャンミンに驚いた。

「チャンミン?具合悪いのか?」

はっと顔を上げたチャンミンは真っ赤だ。
潤んだ瞳に、深く刻まれた眉間の皺。

ユノは眉を下げた。
美しい瞳を歪に細めたユノの顔が男らしくて、チャンミンの頬はますます赤くなった。

「熱ある?」

額に向けて伸ばされた手から逃げるようにチャンミンは立ち上がったが、勢い余ってふらつく。

「おいっ。大丈夫か!?」

「大丈夫です!」

「見学だけだし、先に帰っていいんだぞ?」

「だ、大丈夫ですって!」

チャンミンが走ってスタジオに戻った後、ユノは後方が気になって仕方なくなった。

折角タクミだけに集中していたのに、今夜は勝負だと思っていたのに、まただ。
いつもチャンミンが邪魔をする。

タクミが体調が悪そうだったとして、こんなに気になることはない。

チャンミンがヒナミの名前を出すだけでイラついていたのに、目の前でタクミが女性にキスしても平気。

これが、俺の気持ちってことか……。
どうしたって逃れられない。

ケイコの言う通りだった。
隙あらばチャンミンが入り込んできて、結局頭の中はチャンミンでいっぱいになる。

夜まで続いた撮影が終わる頃には、ユノは観念していた。

楽屋に挨拶に行ったユノにタクミが抱きつきキスを求めても、首を振った。

「……ユノさん?」

「今日はありがとう。」

「……ユノさん……。僕……ユノさんのために頑張ったよ?」

ユノの背広の襟を掴んだタクミの震える指と、泣きそうな顔が女にしか見えなくて、ユノは「違う」と確信してしまう。

「今日の僕、駄目だった!?」

「完璧だったよ。」

「だったら少しは認めてよ!!僕はユノさんの力になってるでしょ!?」

「認めてる。モデルとしても、俳優としても。でも、恋とは違うんだ。」

「やっぱりあの人が……チャンミンが好きなの?あんな何の取り柄もなさそうな奴の何がいいの!?見た目だけじゃん!!」

「……どう言われても……心は変えられないんだ。」

「僕に期待させて……思わせぶりにしたのは、仕事のため!?」

「何度も……真剣に……タクミのこと考えた。でもやっぱり……ごめん。」

タクミは袖から手を離し、ぎゅっと目を閉じて肩を小刻みに震わせた。
それから自嘲気味に軽く笑った。

「僕、フラれてるんだね。ユノさんがこんな風にちゃんとフルの、初めてだね……。」

言われてみれば、そうだ。

駄目だ駄目だと言いながら、タクミに言い寄られたら嬉しくて、ずるずると今日まで来た。

自分から好きになった人には告白できず、香港では告白されてつい付き合ってはみたが、結果は散々。

また同じ過ちを繰り返すところだった。

ユノは吐き出す様に呟いた。

「俺……最っ低だな。」

「ほんとにね。でも……そんなユノさんに惚れたのは僕だから。落とせない僕が……最低なんだ……。」

タクミの瞳から落ちた涙が頬を伝う。
手を伸ばし抱き締めそうになって、ユノは拳を握った。

抱き締めてくれないユノを見つめたタクミの顔がみるみる歪み、「ひっ」と嗚咽が漏れる。
唇を噛み締めて泣くタクミは美しく、可愛く甘えるいつもの彼とは違った。

「出てって……。こんな顔見ないで!」

こんな顔の方が、綺麗だ。
本当のタクミは、案外自分の好みなのかもしれないと思ったが、ユノは静かに楽屋を出た。

チャンミンが居るから。
スタジオにまだチャンミンが居る。

ユノは廊下を駆け出した。




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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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