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シムドールは今日も憂鬱 おわりに

シムドールは今日も憂鬱
おわりに



新年お年玉企画として、短いおバカファンタジーを書こうと思い立って始めたシムドール。

なんやかんやで長くなりました。
しかも、まだ書ききれていない展開がいくつか……。

とは言え、シムドールがチャンミンになって久しいため、これにて一旦区切ります。

チャンミンセンイルなのに、ユノユノ王子の誕生日プレゼントになってしまうと言うふざけた最終話。

こんなはずじゃなかったんだけどな……。
途中で寝込んだ時に妄想炸裂して、軌道を外れました。

コブ初、最終回の構想が崩れた作品(笑

お付き合いいただき、ありがとうございました。


美しく聡明でかっこいいチャンミン。
お誕生日おめでとうございます。

ぶっとんだキャラに描いてばかりでごめんなさい。ユノほどじゃないので許して欲しい。
心底崇めているのです。本当は。

心から、生まれてきてくださってありがとう!と伝えたいです。



さて、次も新作を書く予定でいるのですが、まだ原稿が進んでおりません。

年度末に向けてお仕事もハードを極めておりますゆえ、ちょっとお待たせしてしまうと思います。
3月にはスタートしたいです。

それまでは、「釉薬のさえずり」を宜しくお願いいたします。


今日は月曜日。
牛のように働かねば。

元気に1週間頑張りましょうね!

ではまた、夜のさえずりにてお会いします。




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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

シムドールは今日も憂鬱 41

シムドールは今日も憂鬱
41(最終話)



愛に溢れて揺れる城。

シンドンは大きなゆりかごの中で、今だかつてなく深い眠りに落ちた。

「ふごー……………………ごっ……ふがっ……。」

いつもより無呼吸期間は短く、十分な酸素を得たシンドンの脳は、大きなホールで「きゃーきゃー」言われながらスーパーなショーを繰り広げる夢を見た。

イェソンはウクたんの小さな手を握りながら世界偉人伝を読み聞かせしているうちに、ふわふわした気持ちになって目を閉じた。

「あれ?おいたん……?寝たの?」

ウクたんは、おいたんの白い頬をそっと撫でて、腕に寄り添って眠った。

各々が長い夜を堪能した結果、婚礼の朝は全員寝坊した。


「やばい!婚礼の準備が!!起きてくださいー!!!」

イェソンはウクたんを抱きながら寝室を回って叫んだ。

城の庭にはすでに人が集まり始めている。
隣国SMカントリーの国王やTBの母をはじめとした招待客もそろそろ到着してしまう。

「いやぁー!大変だわ!早起きしてカスミ草の花輪を作ろうと思っていたのに!」

イトゥク様は焦って花壇に走り、せっせとカスミ草を摘んだ。

チャンミンは昨夜の余韻でフラフラだった。立つこともままならない。

シンドンに抱えられてスパで身体をピカピカに洗い、なんとか婚礼衣装に着替えた。

城のチャペルでチャンミンを待つ王子は、真っ白なシルクのスーツに深紅のグラジオラスのコサージュを挿して招待客をもてなした。

「ユノユノ王子。相変わらずの美しさと精悍な眼差し。お妃も相当な美人とお伺いしました。」

美男美女に目のないSMカントリー国王は、ワクワクした顔で王子に挨拶した。

「イ・スマン国王。チャンミンの美しさは、SMカントリーのどんな美人にも勝りますよ。」

「それはそれは。楽しみですな。是非ハネムーンはSMカントリーにいらしてください。盛大に歓迎します。」

この時イ・スマン国王は、美人で溢れるSMカントリーの誰よりチャンミンが綺麗などとは信じていなかった。

後に彼がシムフィギュアとユノユノフィギュアを何体も大人買いする人形店のVIP顧客になろうとは、人生は分からないものだ。

TBの母は、TBちゃんを抱いて参列した。
身体が大きいからと後ろに座ろうとするのを王子は許さず、最前列で歓待した。

「レッドオーシャンのサメさん達は、TBワールドを守ってくれました。私達はずっと、あなた方への感謝を忘れません。」

シウォン様は、TBの母を隣に座らせて胸ビレをぎゅっと握った。

「そうですよ。TBワールドはレッドオーシャンなしには存在しません。これからは、親交を深めましょう。」

「きゅきゅきゅ♪」

母の膝、というか腹でTBちゃんはご満悦だった。

式の開始時間ギリギリになって、薄いピンクのスーツに身を包んだチャンミンが、シンドンにおんぶされてチャペルの扉にたどり着いた。

その後を追い、「ヒーフー」と息を弾ませたイトゥク様が走ってきた。

「ま、間に合った……。」

カスミ草の花飾りをふわりとチャンミンの頭に載せ、イトゥク様は微笑んだ。

「自慢のお嫁さんだわ。綺麗よ。」

「イトゥク様……。」

「母と呼んでちょうだい、チャンミン。もう、親子になるんですから。」

「お母様……。」

くすぐったい、懐かしい感情。
早くに両親を亡くしたチャンミンは、忘れていた母の温もりに心震えた。

「お母様!」

チャンミンの頬を伝う涙を、イトゥク様はそっと拭った。

「ああ……駄目よチャンミン。ほら笑って。笑ってるチャンミンが可愛いんだから。」

王子に何度も言われた言葉だった。
愛する王子の母上なのだと思うと、チャンミンはイトゥク様がいとおしかった。

鬼嫁とか呼んでてごめんなさい。
心の中でこっそり謝った。

「さ、行きましょう。私が支えるわ。」

チャペルの扉が開いた瞬間、参列者は息を呑んだ。

マリンブルーのドレスに身を包んだイトゥク様と、その横で恥じらいながら唇を噛んだチャンミン。

後光がさしているかのように美しい2人。

「なんと……美の化身か?信じられない……ま、負けた……。」

イ・スマン国王の独り言をキャッチした地獄耳のシウォン様は、にやりと笑った。

王子のもとへと歩き出そうとして、チャンミンはふらついた。

「きゃっ!」

参列者から小さな悲鳴が漏れる。

王子は迷うことなく、2人に歩み寄った。

「母上。ありがとう。チャンミンは私に任せてください。」

チャンミンの頬を撫で、その手を腰に回し、王子は軽々と抱き上げた。

「きゃあん!」

今度は黄色い悲鳴が参列席から上がった。

抱っこされたチャンミンは、恥ずかしさのあまり王子の首にしがみついて顔を埋めた。

颯爽と歩く王子と、可憐に俯いて抱かれるチャンミン。
誰もがため息を漏らして見とれた。

参列席の端に居たキュヒョンは呟いた。

「これも、売れる……。」

実際、シム&ユノユノフィギュアのウェディングセットはバカ売れした。
イ・スマン国王は500セット購入し、国中の美容整形クリニックに飾らせた。

シムフィギュアシリーズは人形店の代名詞。
肖像使用料と称して売上の10%をチャンミンに上納する羽目になっても、店は大いに潤った。


式の間中、王子はチャンミンを抱き上げていた。

「今日はずっと抱っこしててあげる。」

「王子……。」

スーツ姿の男らしい王子の胸に抱かれ、チャンミンの胸の高鳴りは止まらない。

誓いのキスは、触れるだけの優しいもので、「もっと」と言いそうになってしまった。
シウォン様も、物足りず貧乏揺すりした。

しかしそこはさすが自慢の息子。
ユノユノ王子はすぐに父の期待を満たしてくれた。

式の後、人々の集まった庭に面したバルコニーに現れた王子とチャンミンが交わしたキスは、それはそれは長くて熱いものだった。

何人かの女性は失神し、男達は内股になった。

「チャンミン。リトルユノユノが大変なことになっちゃった。」

「もう。王子ったらこんな時まで!」

ビッグユノユノは、抱き上げられたチャンミンのお尻に当たっている。

「このまま部屋に帰ろうか。続きがしたいな。婚礼に備えて昨夜は欲望をセーブしてしまったから。」

え?あれで……?

チャンミンは若干引いた。
昨夜が王子の本領発揮でなかったなら、俺の身体はこれからどうなってしまうのか。

「で……でも、パーティーに参加した方が良くないです?」

「チャンミン。私はパーティーより、誕生日プレゼントが欲しい。」

「誕生日って?」

「今日は私の誕生日なんだ。」

「は!?どうして言ってくれなかったんですか!プレゼントも用意してないし!」

王子はキラキラした瞳でチャンミンを見つめる。

「え……と……じゃあ……。」

「うん。」

「プレゼントは……僕……でいいですか?」

王子はペロリと舌を出して唇を舐め、群衆に会釈すると、ベッドまで一目散に走った。


庭では夜遅くまでパーティーが催され、人々はダンスと食事を楽しんだ。

その日のチャンミンの声は甲高く響き、王子の高速連射で城は震動5の揺れを記録したが、ダンスに興じる人々の笑い声とステップが、都合良くかき消してくれた。


チャンミンは、これからも数日おきに不自由な朝を迎えることになる。

でもそれは甘ったるい憂鬱。

「こんな憂鬱なら、まあいいか。」

チャンミンの手をしっかり握って、あどけない顔で目を閉じた王子。

チャンミンはいとおしいその手を握り返した。

「おやすみなさいユノユノ王子。」

「ん……おやすみ…………シムドール……。」


「むっ……。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつの時代か、昔むかしか、はたまた未来か、花と緑に溢れた惑星に、美しく聡明な王子と、妖艶と可憐を併せ持つ妃の住む、TBワールドという小さな国がありました。

2人はいつも一緒。
純粋で勤勉な王子と、傍らで俯いてはにかむ妃は、人々の憧れのカップル。

でも王子には、妃だけが知っている夜の顔がありました。そして妃には、王子もまだ知らない秘密が。

でも大丈夫。
2人の愛はレッドオーシャンより広く深い。

TBワールドはいつだって、笑顔と幸せの溢れる国なのです。

そんな場所に心当たりがあるのなら、あなたはもしかして、TBワールドに足を踏み入れたことがあるのかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




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シムドールは今日も憂鬱 40

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シムドールは今日も憂鬱 39

シムドールは今日も憂鬱
39



城に集まった人々は、伝説の目撃者となった感動で涙していた。

ステージに立った王子は、空を見上げてサメ達に叫んだ。

「サメさんありがとうー!!!」

人々もサメに感謝して手を振った。

サメ達は喜び、赤い目をチカチカと点滅させてレッドオーシャンへと帰っていった。

サメ達の光が東の空に消え、代わりに昇った太陽がTBワールドを照らした。

ブルーマウンテンを下ったマグマは、南の火口を飲み込み、麓のヒチョルの家の手前で止まっていた。

歪だったブルーマウンテンは、美しい円錐形に形を変えていた。

朝日が真っ黒なブルーマウンテンの山肌を白い光で照らし、稜線を宝石のように煌めかせた。

「綺麗ですね。」

囁いたチャンミンに王子は微笑んだ。

「チャンミンが1番綺麗だ。どんな景色も、どんな物語も、チャンミンの美しさを形容することなんてできない。」

恥じらって俯いたチャンミンの横顔に、人々はため息を漏らした。

「美しい王子とお妃……。」

「ユノユノ王子とチャンミン様はTBワールドの伝説だ!」

「一生ついていきます!」

王子の横に収まり、人々の羨望の眼差しを受けるチャンミンに、キュヒョンは軽い目眩を感じた。

「やっぱり恐ろしいやつだ。」

「あなたの幼馴染は、いい王女になりますよ。」

イェソンがキュヒョンの肩をぽんと叩いた。

「この城の人々は才能豊かですが、天然揃い。庶民出身のチャンミンの感覚が必要なんです。世の中に馴染む王族でないと、人々の心は簡単に離れますから。」

「俺の知っているチャンミンは、世渡り上手と言うか、あざといと言うか、計算高いですよ?」

「あはは。それがいいんです。王子の足りないところを補ってくれるでしょう。」

「あー。確かにユノユノ王子は、見るからにピュアそうですもんね。」

「ええ……。それはもう、恐ろしいほどに……。」


そう。生まれたままに欲望をぶつけ合う愛を知って、大人になったはずの王子は、相変わらずのピュアさを保っていた。

レッドオーシャンへの旅の疲れを癒すべく横になったベッドで、チャンミンは細く美しい指を怒りに震わせた。

「お、王子……。何故私と王子の間にTBちゃんが!?」

「んー?だって、TBちゃんが国を救ってくれたようなものでしょう?今日はみんなでゆっくり眠ろうね。」

「なななな……。」

チャンミンが唇をわななかせているうちに、王子はTBちゃんにチュッとキスした。

「きゅう!」

「きゅう!」

王子はTBちゃん越しにチャンミンの手を握り、目を閉じた。

「おやすみ、チャンミン……。夢でも会おうね。」

こ、こんな状態で眠れるか!
何故に熊を挟んで川の字で寝なきゃならんのだ!
普通ここは、俺を抱き締めて眠るだろ!

チャンミンは、冷蔵庫に詰めていたビールをあおった。

「くそ。とんちんかん王子とサメ熊め……。」

チャンミンの憂鬱な日々は、まだ終わりそうになかった。



川の字の夜は数週間続いた。
城では婚礼の準備が急ピッチで進められていたが、主役のご機嫌は麗しくない。

「チャンミン。明後日は婚礼だと言うのにそんなしかめっ面で……。」

シルクで仕立てたピンクのスーツの裾合わせを見学に来たイトゥク様は、チャンミンの般若顔にびくつきながらご機嫌を窺った。

「あん?俺がこんな顔なのは、お宅のとんちんかん王子のせいっすよ。」

「とっ、とんちんかん!?まさかユノユノのことを言っているのではないでしょうね!?」

「そのまさかっすよ。俺という者がありながら、毎晩真横で熊を抱き締めているあの野郎!」

「まっ!ユノユノはいまだにTBちゃんを!?」

「へー、へー、そうです。TBちゃんだか熊だかサメだか知りませんけど。やってらんねぇ!」

なんということ……。

あんなに品のあったチャンミンの口調は下町のヤンキーレベルに落ちている。
可憐なぱっちり二重は今や半目。やさぐれてアル中のおっさんみたいだ。

イトゥク様は真っ青になって部屋を飛び出した。

「シンドン!大変です!!」

「どうしましたイトゥク様。」

「私が当初危惧していたことが現実に!」

「へ?」

「TBちゃんと添い寝する王子に、未来の妃がドン引き!」

「あれま!」

「婚礼前にチャンミンに逃げられるようなことがあっては、城の恥です。TBちゃんを王子から引き離さねば。」

「それは難しくないですか?TBちゃんのお陰で国は救われたというじゃないですか。恩を仇で返すようなこと、王子が許すわけがありません。」

「はぁ。シンドンの言うとおりね。」

困り果てた2人のもとに、ウクたんを抱いたイェソンが満面の笑みでやってきた。

「姉上!シンドン!凄いですよ!ウクたんが九九を言えるようになりました……って、あれ、どうかされました?」

「イェソン……ウクたんと違って、ユノユノが困ったさんなのよ……。」

問題カップルの現状を聞いたイェソンは、呆れ果てた。

「ウクたん、ちょっとお兄さんの様子を見てこようか」

「はい。おいたん。」

王子の部屋に向かったイェソンとウクたんは、あたりめを肴にビールをぐびぐび飲んでいるチャンミンにびくついた。

「ちゃ、チャンミン。そんなに飲んだら婚礼衣装のウェストが合わなくなりますよ……。」

「飲まなきゃやってらんねぇっす。俺は子供に恋をしちまったんすよ。」

なんたる口調。
確かにこれは、ひどいやさぐれ方だ。

チャンミンに続いて衣装合わせしていた王子も部屋に戻ってきたが、びくついて微妙な距離を保っている。

イェソンは王子に小声で尋ねた。

「王子。上級コースはクリアされたんですよね?」

「はいイェソン先生。見事に。」

自分で見事なんて言ってる場合か。

「ではどうしてこんなにギスギスした空気に……?」

「だって先生……。」

王子は俯き、指をイジイジして恥じらっている。

「チャンミンを好きなだけ抱き締めたらよろしいのに。いまだにTBちゃんと添い寝なさっているとか?」

「勉強したじゃないですか先生。抱かれた方が何日も寝込んでる話が課題図書にありましたよね?私はチャンミンを抱き締めたら、もう制御できそうになくて……。」

イェソンはふらついた。

「お、王子。本の中は本の中。実際チャンミンには負担が大きかったのですか?」

「大丈夫でしたけど、大切な婚礼の前ですから。最後の我慢と思って耐えています。」

「う……。まぁ……。その志はご立派ですが、チャンミンは寂しがっているのでは?」

「チャンミンはこのところちょっと怖いんです。マリッジブルーでしょうか。」

ああ……。
なんかもうやだ。
付き合ってられない。

虚無感を漂わせたイェソンを見つめて思案したウクたんは、ベッドのTBちゃんを指差した。

「おいたん。熊たんかわいい。僕欲しい。」





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明後日2月18日にシムドール最終話となります。

チャミセンイルをめでたく祝えるのか怪しげな展開ですが、最後まで宜しくお願いいたしまーす!

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シムドールは今日も憂鬱 38

シムドールは今日も憂鬱
38



東の空を見上げて笑うウクたん。
イェソンはその方向を見上げ、目を見開いた。

赤い光の塊が、こちらに向かってくる。
最初は小さかった塊は、帯状になって近づいてくる。

人々も光に気づき、ざわつき始めた。

「あれは……?」

「赤い銀河?」

レッドオーシャンの方角から向かってくる赤い光の群。

「ピュア・ユンホの伝説の赤い光……。」

イェソンはウクたんをぎゅっと抱き締めた。
イェソンは確信していた。

「ウクたんのお兄さんが、やってくれたんだ……。ユノユノ王子とチャンミンが!」

猛烈なスピードで広がる赤い光の帯が城の真上に差し掛かり、人々は光の正体に絶句した。

何万匹ものサメ。
その両目を赤く光らせて、海水の雨を降らせながら、サメが空を飛んでいく。

サメ達は城に目もくれず、ブルーマウンテンを目指した。

城の上空は赤い光で埋め尽くされた。

「これは……空に浮かぶレッドオーシャンだ……。」

しょっぱい雨に打たれながら、人々は口々に「レッドオーシャン」と呟き、光の行方を見守った。

光の帯は、ブルーマウンテンの山頂に雨を降らせた。赤い銀河から滝のように降り注ぐ雨で、ブルーマウンテンは霞んだ。

銀河はいつまでも終わることなく続く。
ブルーマウンテンに雨を降らせたサメはUターンして東を目指し、レッドオーシャンへと戻る。

レッドオーシャンで海水を蓄えると、サメ達はまた飛び跳ねてブルーマウンテンを目指した。

サメ達の光の行進は、3時間以上続いた。

とめどなく降り注ぐ冷たい海水で、ブルーマウンテンの熱が冷まされていく。

マグマの流れは遅くなり、色を黒く変えた。
雲の上まで伸びていた噴煙は雨に押し戻され、低くなった。

「噴火が止まるぞ……。」

シウォン様の言葉に、人々は歓喜し雄叫びがあがった。

「やったー!」

「助かるぞ!!」

「レッドオーシャン万歳!」

人々の歓喜を他所に、イトゥク様は空を見上げて枯れることのない涙を流していた。

「ユノユノは……。ユノユノはどうなったの?私のユノユノを返して!」

空に浮かぶレッドオーシャンの最後尾を見て、ウクたんはきゃっきゃと喜んだ。

「お兄たん!ちゃーたん!」

「う、ウクたんが喋った……天才児!」

イェソンは感動しているが、イトゥク様は、自分より先にユノユノ王子とチャンミンの名前を呼んだウクたんにムッとした。

だが、一転、その視線の先にある小さな影を認め、喜びの涙を流した。

「ユノユノだわ。ユノユノよ!」

どんなに小さい影でも、母が愛しい息子を見間違うはずがなかった。

傘を手にした王子とチャンミンが、空から舞い降りてきたのだ。


城でスーパーなショーが始まった頃、王子とチャンミンはTBの母に貰った空飛ぶ晴雨兼用日傘に掴まり、サメ達の後に続いて城を目指した。

チャンミンは空中に漂いながら、自分を片腕で抱き締めてくれる王子の腕にきゅんきゅんした。

「王子。手が疲れません?」

「大丈夫だよチャンミン。毎日腕立て伏せしていた甲斐がある。それよりこの日傘、ヒラヒラで可愛いね。チャンミンのシャツみたい。」

「王子はヒラヒラシャツがお気に入りですね。」

「だって可愛いから。チャンミンの顔はもっと可愛いけど。」

空飛ぶ王子がチャンミンにキスすると、胸元でTBちゃんが悲鳴を上げた。

「むきゅ!」

「あ、ごめんTBちゃん。顔が潰れちゃった。」

チャンミンの悪い予感は、残念ながら当たった。

王子とチャンミンが海底帝国を後にしようとした時、TBちゃんはやっぱり王子と離れたくないと駄々をこねた。

TBの母は困り果てた。

「15年間大切に抱いて過ごして貰ったのだから、もういいでしょう?これ以上国を離れるなんて駄目ですよ!あなたもこの国の王子なんですから!」

「きゅーきゅきゅっ!!きゅう!」

TBちゃんの言葉に王子は涙ぐんだ。

「TBちゃん……そんなに私のことを……。1度はシムドールを選んでしまったけど、私も、もうTBちゃんと離れたくないよ!!」

チャンミンには訳がわからない。

「お、王子。TBちゃんは何と?」

「大好きな王子のそばに居られないなら、一生サメの姿には戻らないと言ってる。」

TBちゃんめ。
この期に及んで王子に媚びるとは。
まさか、まだ俺のライバルで居るつもりか。

チャンミンはTBの母がTBちゃんを止めてくれることを期待したが、彼女は呆れながら許した。

「仕方ないわね。ま、人間の一生はあっと言う間だから、それまで待つとしましょう。」

どこの世界にも、親バカは居るものだ。

「でもTB。その汚れた身体は洗わせて貰いますよ!臭くてたまらない!」

「きゅーーーっ!!!」

TBちゃんは、抵抗むなしく母にヤシノミ洗剤でゴシゴシされ、綺麗な赤色になった。

ふっ。いい気味だ。
これからは王子の匂いは俺だけが纏っていればいい。
チャンミンはほくそ笑んだ。

洗剤にまみれたTBちゃんとチャンミンの視線にはバチバチと火花が散っていたが、ピュアな王子はのほほんと呟く。

「TBちゃんはほんとに可愛いよね。チャンミン。」

「ええ。」

同意を求めた王子に、チャンミンは妖艶な笑みを返した。

実のところ、城へと向かう空中浮遊の間、チャンミンは何度かTBちゃんを海に落とそうかと思った。

「きゅ?」

何かを察したTBちゃんが、つぶらな黒目でチャンミンを見つめる。

くそ……。
可愛い顔しやがって。
できねぇ……!

チャンミンは仕方なくTBちゃんを抱いたまま、城を目指したのだった。


さて、ファンタジックに舞い降りてくる我が子を巡り、微妙な三角関係が形成されているとは露知らぬイトゥク様は、むせび泣いていた。

女王のただならぬ様子に、ブルーマウンテンを眺めていた人々も、天から舞い降りてくるピンクのヒラヒラ傘をさしたユノユノ王子と、その腕に抱かれたチャンミンに気づいた。

「王子だ!ユノユノ王子!」

「王子が抱き締めているのがフィアンセのチャンミン様?」

「なんて可憐なの!!」

「赤い熊を抱いてるわ!可愛い!」

こんな名作映画見たことある気がする。
かなりテイストが異なるが……。
イェソンは思った。

ふわりとステージに舞い降りた王子とチャンミンを、割れんばかりの拍手と歓声が迎えた。

魔法か夢かのように美しい王子とチャンミンの立ち姿に、誰もがうっとりした。

キュヒョンは思った。
これ、売れる。

ヒチョルを振り返ると、既に彼はデッサンを開始していた。

この少し後、人形店ではTBちゃんを抱いたシムフィギュアと日傘をさしたユノユノフィギュアのセットが発売された。

このセットフィギュアは大ヒットし、TBワールド中の家に置かれることとなるのだが、人形店の繁盛の話は一旦置いておくとしよう。




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Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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