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メゾンよりビギ愛をこめて

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メゾン・シムの住人
おわりに


皆様。
台風の被害は大丈夫でしょうか。
傷が癒えぬ地域が多くある中で、また週末も雨……。これ以上被害が広がらないことを祈るばかりです。

私はといいますと、雨も風も驚くほど大したことなく、ラグビーに興奮した後、XVに酔いしれる1週間を過ごしました。ありがたいことです。


さて、ページ開設1周年記念作品のメゾン・シムを無事終了することができました。
たくさんの拍手、ランキングポチ、コメント、ご愛読、全部にありがとうございます!

まだまだ新人感覚の作者。
お仕事と家庭と執筆の時間バランスが取れぬ故、コメ返もできないままですが、たくさんの方に「ほんわか」が伝わって良かったです。
コメントはすごーく楽しく何度も読ませていただいてます。

このメゾン・シムは、読者の皆様、愛しいビギストの皆様の日々の癒しになったらいいなぁと願いつつ書いた、日頃のご愛顧御礼作品でした。

チャンミンばりの「愛しのビギさん」発言をくり出してみましたが、これ本心です。

何しろ私、東方神起愛もさることながら、ビギ愛が強いのです。

私のビギ歴は長くありません。
2人が兵役に行ってからです。
Kポップもさっぱりでした。

WITHで泣きじゃくるユノさんと、泣いてるのに美を極めたシムさんの映像を初めて観た時、「ほえーっ!なんて素敵な2人!」と思ったのはもちろんのこと、2年以上も会えなくなるのに、悲しくて泣いてるのに、「待っている」と強い意思を感じさせる観客の皆さんに感動を与えられました。観客に泣かされました。

それからたくさん、韓国のアーティストを愛することによる不自由を知りました。
言葉、文化、育ちが違うだけでも大変なのに、歴史認識まで絡まって、恋愛に置き換えて考えても、そんな環境で愛し続けるって、世紀の大恋愛レベルじゃないでしょうか。

正義を振りかざすかのように他人の趣味を叩く人がいるのも、Kポップ界では普通なんかい?音楽と関係ないじゃん!とカルチャーショック。

純粋に音楽やエンタメを楽しみたい私には衝撃でした。正直、面倒くさい世界だなぁー、とも思いました。

「ユノカッコいい♪」「チャンミン好き♪」と浮かれて歩いていると、落とし穴やら壁やらバンバン出て来て転ぶみたいな……。

弊害にぶち当たって凹んで、乗り越えて、またぶち当たって怪我して……を繰り返していたら、好きが拗れる人と、愛が深まる人の両極に分かれるのは致し方ないことなのかもしれません。

でも、それでも圧倒的に多くの愛を勝ち取っている東方神起ってすげえです(まさかの語彙力)。その魅力ゆえであり、心から尊敬します。

そして、弊害に負けずに愛を注ぐビギさんがいとおしくって堪らない。

東方神起よりも好きなアーティストはたくさん居ますが、ファンにやられたのは東方神起だけです。

ユノが、みんな仲間だと思ってるって言葉、まさにそれ。ビギストは東方神起の魅力の1つになってますよね。


私みたいな何者かも分からない人間の妄想ストーリーをこんなにたくさんの方が楽しんでくださるなんて、1年前は想像していませんでした。

真実なんて、時と場所と読みとく人によって変わるもので、ましてや人生の一片を見せて貰っているだけの遠い存在のアーティストをあーだこーだ詮索したところで、自分よがりでしかないのだから、自分が幸せになれるように妄想しちゃいなよ!YOU!(←故人に失礼)なんて気持ちで物語を書いてきました。

その幸せな妄想を追求したのがメゾン・シムです。

そして、そんな妄想を一緒に楽しんでくださる読者の皆様が大好きです!

そう!それが言いたかった。


それから、ごめんなさい……。
次作は暗いのです!!
ドロッドロなのです!!

なんてこった。

幸せメゾンから闇に急降下ですよ。
テイスト変えてみようと安易に試みたら大変なことに……。

「あかーん!」となった場合は、メゾン・シムにまたお立ち寄りいただけると助かります。

次作については別途ご案内しますね。

では、またすぐお目にかかります。
どうか皆様が平穏な週末を過ごせますように。




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メゾン・シムの住人 最終話

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メゾン・シムの住人 61

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メゾン・シムの住人
61


チャンミンは朝から緊張していた。

バラで満たされた部屋をウロウロし、テレビの画面をピカピカにしたり、電源ケーブル周りに埃がついていないか確認したり。

室内が完璧と見るや、玄関を出て、丹念に掃き掃除し、庭の落ち葉を拾う。

2階のベランダからムカイが声をかけた。

「チャンミン!クリスマスも掃除?」

「うん。今日お客さんが来るから!」

「へぇ。あ、そう言えばさ、タウン誌の記事の仕事、また頼めるかな。」

「いいの!?」

「南岡の広報誌の記事良かったから、キドさんとこと協力して魚特集したいんだ。料理情報も混ぜて。」

「やる!やる!!」

「OK!じゃあ企画進めとく。」

「ありがとう!!」

幸先よし。
いい日になりそうだ。

お茶菓子は昨日のケーキがあるし、コーヒー豆もジュースも仕入れた。
部屋も綺麗だし、バラは多過ぎて異様だが仕方ない。

今日はヤスエばあちゃんのアパートはクリスマスイベントがあるそうで、キュウタロウの訪問はなし。魚屋も休み。やることがない。

チャンミンはやっぱりウロウロした。



ユノは思いの外早く帰って来た。

「まだ2時前だよ!」

「午後休みにした。早くイチャイチャしたくて。」

「なーっ!何その理由!!」

「昨日の幸せを噛み締めたいから。ね、夕食の前にイチャ……。」

「今は駄目!」

「なんで!?クリスマスは早く帰って来てって言っただろ!?そーゆーことじゃないの??」

「お、お客さん来るから!ユノ格好いい服に着替えて!」

「お客さん??」

「いいから!」

両手をバタバタしているチャンミンにぽかんとして、ユノは首を傾げながらブラウンのニットと黒いスキニーパンツに着替えた。
チャンミンは白いふわもこニットだが、ボトムスはお揃い。

「同じってどうなの。」

「いいだろ恋人なんだから!」

ギャーギャー言い合いしていたらチャイムが鳴って、チャンミンは心臓が飛び出しそうになった。

「はーい。」

ユノが玄関に向かおうとする。

「ちょ、ちょっと待って!」

「お揃いの何が悪い。」

「そうじゃなくて僕が出るから!」

「いいよ俺出るって!」

「ゆ、ユノ!」

ユノは引き続き両手をバタバタしているチャンミンを無視して「はいはい。」とドアを開けた。

そして、固まった。

先にお迎えして、お茶など飲みながら和んだところにユノが帰ってくるシミュレーションをしていたのに予定外の状況だ。
チャンミンはユノの後ろであたふたした。

「ユノ先生……ご無沙汰しております。」

深々とお辞儀したお父さんの横で、レンが恥ずかしそうに俯いている。

「ど、どうぞ!入ってください。」

チャンミンはユノを押し退けて2人を招き入れた。ソファを勧めてお茶の準備に取り掛かった時、ユノが静かに部屋に戻ってきた。

ユノはレンと父親の前に立ち、「あの時はご迷惑おかけして申し訳ありませんでした!」と頭を下げた。

焦って立ち上がった父親も謝罪し、頭を下げ合う。

レンは唇をきゅっと噛んで2人を見上げている。

その時キュウタロウが歌い出した。

「あんあんあん!とってもだーい好きーチャンミーンさーん♪」

何故このタイミングでそれなんだ。
再会が台無しじゃないかキュウタロウ……。

チャンミンは荒んだ顔になったが、レンは大喜びでキュウタロウに駆け寄った。

「わー!やっぱり可愛いねキュウタロウ!やっと会えた。」

「……なんでキュウタロウのこと……。」

呆然とするユノにレンはゆっくり歩み寄る。

「チャンミンさんがユノ先生のことたくさん教えてくれてたから。東京まで会いに来てくれて、毎週手紙くれて。」

はっとしてチャンミンを見つめたユノに微笑みかけ、チャンミンはケーキをカットする。

「僕……ちゃんと中学校行ってるよ。ユノ先生のこと恨んでたけど……でも……どうしてるかずっと気になってた。」

「レン……ごめん。何も言わずに学校辞めて……ごめんな。」

「ひどいよ。毎日一緒に居たのに……突然会えなくなって……。」

「ごめん……ごめんっ!!」

ユノは大粒の涙を落としてレンを抱き締めた。抱き締めたと言うより、しがみついて泣いた。
レンもユノに身体を預け、しゃくり上げて泣いた。

「う……っ……ひっ……会いたかったんだ。ほんとは……会いたかったんだよ先生!!」

「俺も……俺も……会いたかったよ……。どうしてるか……いつも……。雨が降ったら、レンと部屋でゲームしたこと思い出して、晴れたら公園に行ってキャッチボールしたこと思い出して……雪が降ったら……悲しくて!!」

「僕も……雪は……嫌いだ……!ユノ先生の泣いてる顔……思い出すから!」

「クリスマスは……毎年辛かった。」

「うん。僕も。」

「でも……もう辛くない。レンに会えたから。」

ボロボロ泣きながら微笑み合った2人に、父親は頭を抱えて謝った。

「私が悪い。2人を引き裂いてしまって……。」

「お父さんは悪くありません!家族を思えば当然のことです。」

「いえ!私が悪いんです!家庭を顧みず、レンの不登校をそのままにしていたのは私なのに、全てをユノ先生のせいに!あの時……いえ、今まで本当に……、申し訳ありませんでした!!」

ユノは父親も抱き締め、それから3人で手を取り合った。

「あんあんあん!とってもだーい好きー♪」

キュウタロウの歌は終わらない。チャンミンは「もう……」と呟いてケーキを並べた。

「みんなとっても大好きだったんですね。お互いに。」

指についた生クリームをペロッと舐めたチャンミンは、やっぱりユノの妖精だった。
チャンミンが魔法の粉を振り撒いて、ユノの心のしこりを溶かしてくれる。

大切なレンを傷つけまいとしたユノも、家族を守ろうとした父親も、ユノを求めていたレンも、母親だってそう。
みんな好きが拗れて絡まって、頑なになってしまった。

ほどけてしまえば思いは同じ。
大好きだったんだ。

みんなでケーキを食べながら、レンの学校生活の話を聞いた。ユノの学校の話もたくさん聞いた。
話は尽きず、夜まで続いた。

チャンミンはハンバーグを作って振る舞い、レンは「母さんのより美味しい!」とはしゃいだ。

20時近くなり、父親は名残惜しそうに腰を上げた。

「さすがに帰らないと。明日仕事なんです。」

「もうちょっと居たいのに。」

レンは俯いてしまったが、ユノはそんなレンの頭をぐりぐり撫でて、「次は俺が東京に会いに行く」と約束した。

「ほんとに?チャンミンさんも?」

「うん。ご両親が嫌じゃなければ……。」

「もちろんです!妻も……本当は謝りたいって……。みんなでお待ちしてます。」

次の約束ができ、レンは笑顔で車に乗り込んだ。

「チャンミンさんは素敵な方ですね。ユノ先生は幸せ者だ。」

「あ……。」

父親の言葉にチャンミンはたじろいだが、手紙を読んでいるのだから当然2人の関係はバレている。

「実は……それで安心しました。妻のことで年甲斐もなく嫉妬していましたが、これは心配する必要もないなと。」

ユノはくしゃっと顔を歪めて笑う。

「はは……。なるほど。安心してください。俺、チャンミン一筋です。」

「……でしょうね……。」

真っ赤になったチャンミンと笑顔のユノに見送られ、レンと父親は東京に帰って行った。

車が小さくなるまで、ユノはずっと手を振って、海岸通りを右に曲がって見えなくなっても、しばらく遠くを見つめていた。

「チャンミン……。ありがとう。」

前を向いたまま呟いたユノが下ろした手を、チャンミンがそっと握る。

「うん。」

「……俺……情けないな。自分の恥ずかしいとこ、チャンミンに隠して。」

「楽になった?」

「あぁ……。すごく。」

「なら……良かった。」

「チャンミン……愛してる。」

「うん。」

「叫びたいくらい愛してる。」

「……それはやめて。」

「愛してる!!!」

「わーっ!やめて!!」

ユノを引っ張って部屋に押し込んだチャンミンは、今度はユノに引っ張られてベッドに押し込まれた。

「愛してる。」

ユノは凄く小さな声でチャンミンに囁いた。
その掠れた声は、どんな大声よりチャンミンの胸の奥まで届いて、全身に染み渡った。






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メゾン・シムの住人 60

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メゾン・シムの住人
60


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

12月24日(火) 13:30
晴れ


今日はクリスマス・イヴ。
そして、僕の誕生日。

ユノは夕食は海辺のレストランに食べに行くから作らなくていい、ケーキも買うなと言い残して仕事に出掛けた。

今日が僕の誕生日だってユノは知ってるのかな。僕は小さい頃から、この日に生まれたことが嫌で仕方ない。
誕生日とクリスマスのお祝いを一緒にされて、損した気分になる。

プレゼントだって1個しか貰えないんじゃ割に合わない。2個分だなんて、都合のいい解釈はできないのだ。

でも、今年はそんなことはどうでもいい。
重要なのは明日だから。

レン君のお父さんと連絡を取るようになって、彼らがこの数年抱えていた苦しみが、どんなに深いものだったかよく分かった。

お父さんにしてみたら、ユノに奥さんとレン君の心を奪われたも同然。ユノが居なくなってからも、疎ましさと申し訳なさの狭間で葛藤していた。

明日レン君と再会した時、ユノがどんな反応をするかちょっぴり不安もあるけど、きっとユノなら大丈夫。
ユノはたくさん奇跡を起こせる人だ。
人を幸せにできる人。


昨日テミン先生からも連絡があった。
ユノの写真に書き込まれたコメントが知らない間に消えていたと。

犯人はレン君かもしれないし、お父さんかもしれない。でも、もう誰だっていい。ユノを悪く言う気が無くなったんなら、それでいい。

冬の寒さが嫌いな僕が、この1ヶ月こんなにあったかい気持ちで過ごせたのは、ユノとレン君のお陰だ。

今日は笑顔いっぱいのイヴを過ごそう。
そして、明日はもっと幸せになるんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


チャンミンはいつもよりちょっと華やいだ日常を過ごした。

ヤスエばあちゃんとのお茶の時間は小さなケーキを食べ、クリスマスプレゼントを交換した。チャンミンは腹巻きをあげ、ばあちゃんは靴下をくれた。

商店街ではキドにサンタクロースの帽子を被らされた。キュウタロウの籠にも今日は赤いリボン。寒さの苦手なキュウタロウを気遣って、キドは専用のヒーターを店の前に置いてくれた。

18時過ぎに帰って来たユノは、顔が隠れるほど大きな真っ赤なバラの花束を抱えていた。

「わあー!!!ユノなにそれ!」

「ただいま。」

「凄い。こんな大きい花束初めて見た。」

「チャンミンへのクリスマスプレゼント。」

商店街のど真ん中でバラの花束とは。
盛大に照れ、唇を噛んで花束を受け取ったチャンミンにユノは吹き出した。

「あはは。帽子の色にぴったり。こんな可愛いサンタクロースじゃ、拉致される。」

「……そんな悪い子のところへはプレゼント持って行かない。」

「手厚く拉致監禁しますよ。身体中隅々まで大切に面倒みて。」

「ちょ、もう!変質者……恥ずかしいって。」

キドはクスクス笑い合うユノとチャンミンには慣れたもの。エプロンを外し、今夜は早く店じまいすると言う。

「今夜はスナックコミチでクリスマスパーティーがありますから、一番乗りしないと。」

「へー。ミチコママがセクシーサンタになったりして?」

「……そうです。あれは見物ですよ。」

キドは顔を赤らめ、魚臭い手をゴシゴシ洗う。

「もしかしてキドさんて、ミチコママのこと……。」

「意外……でもないか。ミチコママ化粧してたら美人だし。色気あるし。チャンミンほどじゃないけど。」

ふと、背後が騒がしくなった。

「この忙しい日に何がスナックよ!!あほ!どあほ!!バカ亭主!!」

スーパーの前で奥さんとご主人の喧嘩が始まった。スナックに向かおうとしたところで捕まったご主人がジタバタしている。

「キド君より先に行かないと!」

どうやらご主人とキドは、ミチコママを取り合うライバル関係らしい。

キドはニヤリと笑い、ご主人を尻目にプレゼントの包みを持って早足でスナックのある裏通りへと消えた。

「俺たちも行きましょうか。」

「うん。でもあの喧嘩、仲裁しなくていいの?」

「あれは思うに、2人ならではのイチャイチャでしょう。町の人達もにやついてるし。」

「あはは。そうだね。放置していいね。」

アパートに帰ると、ユノはスーツに着替え始めた。

「え!そんな正装で行くの!?」

「お祝いだから。」

「えー。僕そんなちゃんとした服持ってないよ。」

ブツブツ文句を言いながら、チャンミンは当初予定していたふわもこニットを諦め、身体にフィットするタートルネックにジャケットを羽織った。
いつものラフな服装とは印象が変わったチャンミンが美しく、ユノは目を細める。

「綺麗。品がある。」

「へへ。ユノも凄く格好いい。男前。」

「照れるな……。」

「あ、レストランに行く前にバラを生けていい?バケツに入れとくのも嫌だし。」

「じゃあ俺、車取ってくるよ。」

バラは手持ちの花瓶に入り切らず、チャンミンはモエの部屋に走って花瓶を借りた。
それでも足りずにコップにも差し、部屋中バラだらけ。
メゾン・シムの一室が、お城の部屋みたいに豪華になった。

車の前で待っていたユノにチャンミンは抱きついた。

「わ!大胆。」

「ユノ……ありがとう。」

「ふふ。まだこれからだよ。行こう。」

お姫様みたいにエスコートされて車に乗り、レストランではクリスマス仕様のコース料理を堪能する。

遅めに店に入ったユノとチャンミンが料理を食べ終える頃には、他の客は帰って2人きりになった。

照明が暗くなったと思ったら、キャンドルで飾られた大きなケーキが運ばれてきた。真っ白なケーキの上には、『Happy Birthday』の文字。

運んできたハルトは、満面の笑顔だ。
ユノが立ち上がって拍手し、チャンミンは恥ずかしいやら嬉しいやらで真っ赤になる。

「チャンミン。誕生日おめでとう!!」

「ユノ……知ってたの……。」

「最近謎だらけのチャンミンだけど、それくらいは分かってるよ。」

「こんなに大きいケーキ……食べきれないよ。」

「いいから早く願い事して吹き消して!」

「うん。」

目を閉じてチャンミンは祈った。

『ユノが過去から解き放たれて幸せになれますように。明日はもっといい日になりますように。』

ろうそくを吹き消したチャンミンは涙ぐんでいて、それを拭ってくれるユノの指先が嬉しくて余計に涙が出た。

「……ユノ……僕ばっかり貰い過ぎだよ。」

「チャンミンいつもありがとう。俺甘えてばっかりだから、全然足りないよ。」

ホールのケーキをナギサがカットして4人で食べた。残りは持ち帰って食べてねと箱に入れてくれる。
明日も続く幸せの前兆に思え、チャンミンは箱を抱き締めて喜んだ。



帰りがけ、ハルトがユノにウィンクしながら空を指差した。

「今夜は寒いけど空が綺麗だよ。庭からちょっと眺めていけよ。」

レストランの照明が落とされ、2人の頭上に満点の星空が広がった。

「うわぁ……。」

「すごい……綺麗……。」

「宝石散りばめたみたいだね。」

「チャンミン寒くない?」

「……あのさ。車の中にユノへのプレゼントのマフラーあるんだ。取ってきていい?それ巻いてさ、ここで星を眺めたい。」

1つのマフラーを巻いて肩を寄せ合い、2人は空を見上げた。チャンミンの指を撫で、ユノが耳元で囁く。

「チャンミンに……もう1つ渡したいものあるんだ。」

もう勘弁して欲しい。
こんなに貰ってばかりで、嬉しくてどうにかなりそう。

困り顔のチャンミンに微笑み、ユノはスーツのポケットからあからさまに中身が分かるケースを取り出した。

「付き合ってる証が欲しかったから。これ、はめて欲しい。」

細いシルバーの指輪を、ユノはチャンミンの左手の中指にゆっくり差した。

「ユノ……。」

「薬指はまだとっておく。」

「もう……ユノ……!」

「チャンミン。誕生日おめでとう。これからも毎年、俺に祝わせてくれたら嬉しい。」

プロポーズみたいだった。
チャンミンはユノに抱きついて、がむしゃらにキスした。

唇をぴったり沿わせ、何度も「好き」と囁きながら。

チャンミンにとって人生最高のクリスマス・イヴと人生最高の誕生日は、同時にやってきた。




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メゾン・シムの住人 59

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メゾン・シムの住人
59


チャンミンは早速連絡を入れた。

『手紙ありがとう!来週から土曜の昼過ぎに届くように送るね』

休み時間中なのか、すぐに返事があった。

『はい。それよりチャンミンさん、ユノ先生のこと甘やかし過ぎじゃない?』

ユノ先生……。
そう呼んでくれることに涙が出た。

レンの大切なユノ先生は今日も頑張って働いてるよ。
まだ何も話してくれないけど、でも、先生として頑張り続けることで、ユノはレンへの罪滅ぼしをしているように思える。

テミン曰く、ユノの過去の噂はまだ保護者の間でくすぶっているけれど、ユノの変わらぬ熱心な姿と笑顔で、人気は衰えないどころか上がっていると言う。

『頑張ってるから、つい甘やかしちゃうんだ』

『家事全部やってあげてるじゃん。うちのお父さんみたいになるよ。』

『レン君ちもお父さん家事ダメなんだ!ユノはたまにやってるよ。でもこの前洗濯させたら、シワシワに干されてむかついた』

『へなちょこだね』

『だね』

『キュウタロウの写真見たい』

首を傾げているキュウタロウの写真を送ると、見たこともないキャラクターのスタンプが送られてきた。
少年の流行りはさっぱりだ。

チャンミンはその日、スキップしたいのを我慢してキュウタロウと坂を下った。

スキップは我慢したが、あんまり嬉しくて、ヤスエばあちゃんのアパートの談話室では、請われるままにドラえもんの歌をキュウタロウと輪唱した。

キュウタロウだけでなく、いまやチャンミンも入居者の人気者だ。

商店街でもにやけが抑えられないチャンミンにキドは怪訝な顔をした。

「チャンミンさん。今日ご機嫌ですね。さっきからにやにやにやにや。」

「えへへ。実は新しくボーイフレンドができたんです。」

「……へえ。ユノさんはいいんです?」

「ユノより断然若くて可愛いんですー♪」

刺身を切っていたキドの包丁が止まった。

「チャンミンさん……。御愁傷様。」

「は?」

キドの視線はチャンミンの肩越しに後ろを見ている。
背後からただならぬ冷気。
ぞわっと背筋を震わせ振り向いたチャンミンは至近距離にユノの真っ白い顔が迫っていて仰け反った。

「わあぁ!!」

「ボーイフレンド……。」

「ユノ……お、おかえり!」

「俺より若い……ピチピチの……。」

「ちち、違うよ!ボーイフレンドってのは単なる男友達って意味!」

「浮気……チャンミンが……うわ…き……。」

「ゆ、ユノー!!!」

キュウタロウの籠を抱えてフラフラと歩き出すユノをチャンミンは追いかけた。

ユノはブツブツ呟いている。

「最近やたらと便箋を買ってると思ったら……。」
「恋文か?!ボーイフレンドと恋文のやり取りを……?」

恋文って。
ヤスエばあちゃんの若かりし頃じゃあるまいに。

「まさか……俺の留守中に……あんなこととか……そんなこととか……ああっ!惨劇!!」

呟きが叫びになったのでチャンミンはユノの背中に手を添えた。

「勘違いだよ。僕はユノ一筋。」

「ぼ、ボーイフレンドってのは!?」

「それはまだ内緒。ユノだって、僕に秘密にしてること1つや2つあるでしょ!」

「む……。」

釈然としないが、レンとのことや、学校で噂になったことなど話せずにいる手前、ユノは口ごもった。

「さ、早く帰ってご飯にしよ!今日は甘エビ貰ったからお刺身にするね。」

エビの殻を剥くチャンミンの正面に立ってユノが監視している。

「ボーイフレンドは何歳……?」

「……その話はしないよ。」

「大学生?南岡在住?え、まさか、高校生?」

「あーっ、もう!中学生!!」

「なにーーーっ!!!」

ユノが視界から消えた。
床に突っ伏しているようだ。

「……チャンミンがロリコンだったなんて。」

「いい加減にしてよ!仲良くお話するだけの友達だから!!」

「どこで出会ったんだ?え?日向町の子?その子、チャンミンに恋心抱いてるんじゃないか?1度俺も会っておいた方が……。」

「うざ……。」

その夜、チャンミンが眠ったとみるや、ユノはデスクを漁り始めた。
便箋の使い途が文通だとしたら、返事がないか探そうと思ったのだ。

「ユノ。文通なんてしてないよ。」

「わ!チャンミン起きてたのか!?」

チャンミンはため息を吐いて上半身を起こした。

「僕、小説家になるのが夢だったんだ。物語を便箋に書くと気分が乗るから使ってるだけ。」

ユノは納得いかない顔だ。

「チャンミンの小説……俺に読ませてよ。」

「まだ駄目。」

「なんで。」

「完成してないから。今はユノに見つからないところに大切に保管してあるんだ。探しても無駄だよ。」

「ちぇ……。」

すごすごベッドに戻ったユノを、チャンミンは腕枕して慰めるように撫でた。

「ふふ。僕にも秘密くらいあるんだ。」

「俺は心配症なんだ。あんまりいじめないでくれよ。」

「うん。じゃあ、心配ないって身体で証明してあげる。」

「え……ちょ!チャンミン!」

馬乗りになったチャンミンは「ふふん」と笑ってユノを攻めた。手と口で器用に快楽の世界に誘う。ユノは目眩く快感を味わって幸せな寝息を立て眠った。

「はあ。秘密って疲れる。」

顎を擦り、チャンミンはユノの寝顔を眺める。
全部吐き出してしまえば楽なのに。
「ごめんな」って、レンを抱き締めたらきっとユノは楽になれる。

あと少し。
もう少し頑張ろう。

ユノは僕を宝物って言うけど、僕にとってもユノは宝物だよ。
宝物には輝いていて欲しい。

カッコつけて輝くんじゃない。
そのままの、荒っぽい原石のユノがいい。
僕は誰よりその美しさを知ってる。

「好きだよ。」

寝顔にキスしたら、ユノはにへっと笑った。



チャンミンは12月に入っても毎週メゾン・シムの物語をレンに送り、その都度レンからメッセージが届いた。

『キュウタロウの詩吟聞きたいなぁ』

12月の半ばに届いたレンの言葉に、チャンミンは意を決して返信した。

『聴きに来る?』

返事はしばらく来なかった。
だが、数日後の日曜の夕方、突然チャンミンのスマホが振動した。

画面を見て庭に飛び出したチャンミンは、スマホから聞こえる声にたじろいだ。

「突然申し訳ありません。レンの……父です。」

「あ……お父さん……。」

部屋の中からユノが眉をひそめて見つめている。
大丈夫だとジェスチャーし、チャンミンは裏山の林まで走った。

「あの。レンから話は聞いています。あなたの物語も毎週読んでいました。私……ずっと……ユノ先生のことは忘れて生きようと。しかし……それではいけなかった……。」

レンの父親は自分を落ち着けるようにゆっくりと話した。

「私は被害者のつもりでした。ユノ先生が余計なことをしなければ妻の心を奪われることはなかったと。そう思うしかなかったんです。でも……息子と話して分かりました。私が守ろうとして傷つけていたのはレンでした……。それに、ユノ先生も……。今更謝って済むことではありませんが、お会いして謝罪したい……。」

「ユノは……お2人を恨んでなんていません。きっと、会えたら喜ぶと思います!!」

「妻はとても会えないと。それで……次の休み、レンを連れてそちらに伺ってもいいでしょうか。」

「……もちろん……是非!!」

電話を切った後、チャンミンはスマホを握り締めて、裏山への遊歩道に座り込んだ。

メゾン・シムの入り口で、コートを抱えてウロウロしていたユノが走ってくる。

「チャンミン!何の電話だったんだよ!裸足にサンダルで飛び出すなんて。」

「ユノ……。」

チャンミンはユノの胸に飛び込んだ。
涙が溢れる。

「チャンミン?」

コートを肩にかけてぎゅっと抱き締めてくれるユノの心臓がトクトクと拍動している。
温かい抱擁にすがり、チャンミンはズルズル鼻を啜って泣いた。

「ユノ……クリスマスは、家で過ごそうね。」

「ん?イブじゃなくて?」

「うん。25日。」

「午前中終業式だから、夕方には帰るよ。」

「美味しいご飯作って待ってる。」

「いいけど……。なんで泣いてるんだよ。」

「へへ。まだ秘密。」

「なんなんだよもうー!!」

ユノは気が気でない日々を過ごす羽目になったが、チャンミンは不安そうなユノを眺めては微笑んだ。




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プロフィール

コールドブリュー

Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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