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正中に放て 弓道編 18

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正中に放て
-弓道編-
18



「ユノのバカー!!!バカバカバカー!!!」

「ど、どしたの!?」

「全然電話くれないんだもん!カトクも返事短いし!!」

「ご、ごめん。部活と勉強が忙しくてさ。」

「サランはユノに会いたくて毎日泣いてるのに!」

「ごめんねぇ。夏休みには帰るから。」

「そんなに待てない!週末に飛行機乗ればソウルなんてすぐじゃない!」

「週末も部活なんだよぅ。」

「バカバカバカ!ユノは寂しくないの!?日本で浮気したら殺すから!」

「浮気なんてしないよ……。」

「そんなこと言って、ユノはモテるんだから、心配なの!」

「男子校だから大丈夫だって。心配しないで。」

「サラン、寂しくて夏休みまで待てないー!」

「あと2ヶ月ちょっとだからさぁ。」


お風呂から出たチャンミンは、ユノの部屋から聞こえる話し声に耳をすませた。

電話か?珍しい。
韓国語で話している。

「僕だってサランちゃんに会いたいよ。」

サランちゃん……?

チャンミンははっとした。
彼女か。彼女と電話か!

「何が会いたいよ、だ。甘い声出しやがって。」

チャンミンは猛烈にイライラしながら冷蔵庫を開けたが、生憎飲み物は切れていた。
裏に名前を書いて置いていた、大切なコーラの缶がない。

「あいつ……。飲みやがったな。くそ。むかつく。」

ドスドス音をさせて食堂に行くと、丁度シウォンも飲み物を取りに来たところだった。

「どうしたチャンミン。しかめっ面して。綺麗な顔が台無しだぞ。」

「ふんっ。ユンホ君に俺のドリンクを奪われたんでね。」

「それは良くないな。礼儀のない奴だ。」

「でしょう!?数量限定のガンダムパッケージだったのに!」

「ああ。あれか。あれならまだ俺の部屋にあるぞ。あげようか。」

「えっ!ほんと!?」

こみ上げるイライラで脳が沸騰していたチャンミンは、第6感が告げる危険信号に気づくことなく、ノコノコとシウォンの部屋にいざなわれた。

「わぁー。全種類ある!」

「チャンミンが好きなの選んで。」

「やった!じゃあこれと……これと……。」

ガンダムパッケージのコーラを抱えてニコニコするチャンミン。
シウォンはその可愛さに心臓が高鳴って部屋中を走りそうになった。

「ありがとうシウォン!」

部屋を出ようとするチャンミンをシウォンは引き留めた。

「お礼は?」

「え……?」

両手が塞がれていて、ドアが開けられない。

「こ、今度シウォンの好きなお菓子でも持ってくるよ。」

「そんなのいい。チャンミン……俺は……俺が欲しいのは……。」

シウォンの濃ゆい顔が距離を詰める。

「ひっ……。」

ようやくチャンミンは危険を察知した。



ぐずるサランを落ち着かせ、電話を切ったユンホはリビングに戻った。

「あれ。チャンミン君?」

バスルームにも部屋にも姿がない。

「あ、まずい。コーラ飲んじゃったの謝ろうと思ってたのに。」

チャンミンはいつもお風呂上がりに冷蔵庫を開ける。

「バレたかな……。怒って出て行っちゃったのかな。どうしよ。」

ユンホは廊下に出てチャンミンを探した。


シウォンの部屋では、チャンミンに危機が迫っていた。

ドアに行く手を阻まれてシウォンに壁ドンされる形になったチャンミンに、迫るシウォンのオスの眼差しと唇。

鬼頭にファーストキスを奪われた記憶が甦る。

「ど、どどど、どうしたのシウォン!」

「お礼をもらいたい!」

シウォンは遂に、コーラごとチャンミンを抱き締めた。

「きゃーーー!!!」


1階にチャンミンを見つけられず、2階に上がったユンホは、シウォンの部屋から聞こえたチャンミンの悲鳴にぞっとした。

こ、これは!
チャンミン君が抱き締められた時に発する「きゃー!」ではないか。
大変だ。
シウォン先輩は狼だったのか!

「赤ずきんちゃん!!」

ユンホは迷わずドアを開けた。

抱き締められたチャンミンに迫る、シウォンの唇。

目の前に表れた破廉恥極まりない光景。
ユンホの鼻血がたらりと垂れた。

「わっ……わわわ……わー!!!」

ユンホはピレネー犬さながらのフワモコトレーナーをなびかせ、シウォンの顔ににぐーで猫パンチした。

「ぐへっ!」

シウォンが仰け反った反動でチャンミンはふらつき、抱えていたガンダムコーラが派手な音をさせて床に散乱し、転がる。

2年生が次々と廊下に飛び出し、周囲は騒然とした。

「なんだなんだ!」

「喧嘩か!?」

「おい!血が出てるぞ!」

「殴り合い!?」

「流血の戦い!?」

ユンホは鼻血をぐいっと拭い、チャンミンの手を握って廊下に引っ張り出すと、シウォンを睨んだ。

「赤ずきんちゃんに手を出さないで!先輩でも許しません!!!」

「何が手を出すなだ!俺の方がチャンミンとの付き合いは長いんだぞ!」

「ぼ、僕は狩人なんだ!チャンミン君に近づく者は打ち落とします!」

「意味が分からん!ユンホ、お前……これは………宣戦布告のつもりか!?まさか……ユンホお前も……。」

ユンホまでチャンミンの虜?
万が一にも両想いなんてことはないだろうな!?

シウォンはユンホとチャンミンを呆然と見つめた。

ユンホは手をぐーにして仁王立ちし、チャンミンは真っ赤になって床に転がったコーラを拾っている。

拾い終えると、チャンミンは抜き足差し足この場を離れようとした。

「待ってくれチャンミン!」

追いかけようとするシウォンをユンホが通せんぼした。

「チャンミン君!逃げて!!」

「行くなチャンミーーン!!」

シウォンの叫びも虚しく、チャンミンはすたこらさっさと行ってしまった。

シウォンとユンホの睨み合いは、騒ぎを聞き付けた大河によって終止符を打たれた。

「何を騒いでるんだ!もう11時だぞ!部屋に戻れ!」

大河はユンホに厳しい目を向けた。

「弓道部員が鼻血垂らして騒ぎとは。恥を知れ!」

「先輩……でも!」

「言い訳など聞きたくない!礼を忘れた人間には弓は持たせられない!明日から正座して自分を見つめ直せ!」

「……そんな……。」

シウォンはにやりと笑って部屋に消え、集まった野次馬達も大河の鬼の目に恐れをなしてそそくさと散った。

次の日からユンホは、道場の板の間で正座させられることとなり、その様子を外から覗く学生が後を絶たなかった。

誰もが、チャンミンを巡るシウォンとユンホの血で血を洗う韓国抗争が勃発したと盛り上がっていた。

東高に語り継がれる、「赤ずきん抗争」はこうして始まったのだ。



日下部は項垂れて正座を続けるユンホと、それをチラチラ気にするチャンミンが不憫でいたたまれない。

「ねぇ大河、ユンホは悪くないよ。ちゃんと事情を聞いてあげた?チャンミンが襲われそうになったのを助けただけなんだって。」

「分かってるよ香月。チャンミンが泣きながら話しに来た。」

「だったら、もう許してあげてよ。ユンホはあんなに熱心に練習してたじゃない。弓道のセンスもある。ずっと正座させるなんて、時代錯誤な……。」

大河は厳しい顔を崩さなかった。

「たかが猫パンチでも、暴力だ。弓道部の名を汚しかねない。」

「弓道部、弓道部って!大河はそればっかり!ユンホが真面目で優しい子だって分かってるくせに。意地悪だよ!」

「香月!」

日下部は道場を出て行ってしまい、チャンミンもユンホを気にしてばかりでまともな射ができていない。

練習試合まで日が浅いというのに、東高弓道部の状態は劣悪だった。




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Re: No title

◯かさん、

ユンホ君、罪なモテ男ですね(〃ω〃)
チャンミン君のぐるぐるが哀れです←なんとかはしてあげない。

Re: No title

Kさん、

ギャップ萌えありがとうございます!
最初は正中に放てを息抜きとして書いていたんですけど、次第に怪しくなって参りましたよ……。
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Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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