FC2ブログ

記事一覧

メゾン・シムの住人 53

20190717022126b2f.jpg

メゾン・シムの住人
53


初めてのセックスを経験した翌朝、ユノはなんとも気恥ずかしかった。無理をさせたのではと落ち着かず、起き上がらないチャンミンの顔を凝視する。

「チャンミンさん……。身体……辛いですか?辛いですよね……。」

「……さん付けはもうやめてよ。昨日だって呼び捨てしてたじゃない。」

「そ……その……あんまり気持ちいいから興奮しちゃって……。」

「チャンミンって呼んで。」

「……はい。チャンミン。」

「あと、あんまりジロジロ見ないでよ。髭生えてるし。」

「いやいや!青髭も可愛いです!」

「はあ?ユノって変な人。」

身体が重い。
それにまだ眠い。
今何時だ。

時計を確認してチャンミンは深いため息を漏らした。

「まだ6時じゃない!もう少し寝る!」

チャンミンはシーツを頭まで被ってしまった。

「チャンミンさん……。」

「チャンミン!」

「ちゃ、チャンミン。朝御飯俺が作ります。何が食べたいです?」

「もう!」

再び顔を出したチャンミンは頬を染めていた。

「余韻に浸りたいんだから、男らしく抱き締めてくれたらそれでいい!」

「っ……!チャンミン可愛い!!」

本調子を取り戻したユノは、やり過ぎだと文句を言われながら、ぎゅうぎゅう抱き締め、チュッチュとキスしまくった。

「今日はゆっくり過ごしましょうね。」

「ん……。」

「あぁ……幸せだ……。チャンミンを抱いたなんて……。夢じゃないといいな。」

「夢ならこのお尻の違和感の説明がつかない。」

「夢みたいに気持ち良かったです。」

「……僕も……。」

「俺達、身体の相性も抜群ですね。」

それは否定できない。
はまりそうな快感だった。

昼までベッドで過ごし、昨晩から何も食べてなくてさすがに空腹で元気のなくなったチャンミンのため、ユノはピザをオーダーした。

余裕をもって4枚注文したが、チャンミンは3枚平らげて少しも余らせなかった。

「ユノ、引いてる?」

「いえ。見事な食べっぷり。惚れ直します。」

「じゃあデザートも食べる。」

「え……それはさすがに引きます。」

「いいから。冷凍庫にアイスクリーム入ってるからとってきて。」

唖然としながら冷凍庫を引き出したユノは頬を緩めた。苺やチョコレート味のアイスが綺麗に並んでいる。

「ユノ好きなの選んで。僕は抹茶のハーゲンダッツね。」

「これ、俺の好きなアイスばっかり。」

「うん。恋人の好みくらい分かるよ……ってのは嘘で、実はユノの捨てたゴミ見たことあるんだ。」

「わー。恥ずかしいな。アイスとカップラーメンばっかりだったんじゃないですか?」

「まさに。食生活やばいと思った。」

満面の笑みでキッチンから戻ったユノは、チョコとバニラのソフトクリームをペロペロ舐める。

「子供みたい。」

「母が厳しくて、小さい頃アイスクリームなんてあんまり食べたことなかったんです。その反動かな。」

「じゃあ子供の頃のお菓子って何だったの。」

「自然のものばっかりですね。焼き芋とか羊羹とか。」

「うわ。しぶ!」

「ポテチに埋もれてみたかったし、ガトーショコラなんて、名前だけで空想に浸れる夢のお菓子でした。」

「じゃあ、また作ってあげるね。」

「チャンミン!最高!!」

ユノにとってチャンミンは癒しと幸せをくれる宝物。チャンミンが辛い時は側に居たい。どんな悲しみも拭い去ってあげたい。

ヤスエばあちゃんが出て行く日は、きっとチャンミンは泣いてしまう。

ユノは月末、休みをとった。



歩ける距離に引っ越すだけなのに、ガランとした2号室を見回して「お世話になりました。」と深々とお辞儀したヤスエばあちゃんの小さな背中を見たら、チャンミンは案の定ポロポロ泣いてしまった。
ユノが支えてくれなかったら、泣き崩れていただろう。

東京から来た息子さんが手配したタクシーが迎えに来て、ヤスエばあちゃんは慣れ親しんだ2号室を出た。

道端からメゾン・シムを見上げてウンウンと頷き、車に乗る直前、ヤスエばあちゃんは笑顔でキュウタロウのカゴを撫でた。
チャンミンの腕の中で、キュウタロウは首を傾げて尋ねる。

「ヤスエちゃんおでかけ?」

「そうだよ。ちょっと行ってくるよ。キュウタロウ、お利口にしてるんだよ。」

「キュウタロウおりこう!キュウタロウ天才!」

「そうだね。天才だ。チャンミンちゃんの言うことよく聞いてね。」

「チャンミンちゃん!」

キュウタロウは黒い羽を広げてバタバタし、新ネタを披露した。

「あん!あん!」

一瞬何が起きたのか分からず、チャンミンはキョロキョロした。自分みたいな声が聞こえる。

「あんっ!ユノ!」

「……な……ななな……。」

チャンミンは鳥籠を抱き締めてキュウタロウを隠すが、声は隠れてくれない。

「あん!あん!ユノもっと!」

「ひっ、ひえーーーー!!!」

チャンミンはキュウタロウを抱えたまま部屋に逃げ込み、ヤスエばあちゃんの見送りを断念した。

ヤスエばあちゃんはにやにやしている。

「……ユノ君。お盛んだったんだね。」

「ごほ、ゴホゴホ……。」

「今夜はチャンミンちゃんに赤飯でも食べさせてやんな。」

「そ……そうするよ。」

「いひひひひ。じゃ、あたしは行くから、チャンミンちゃんに赤飯の残りで饅頭作って持ってきてくれって伝えといて。」

ユノは苦笑して頷いた。

「はいはい。じゃ、またね。週末は俺もお邪魔するよ。」

「そうかい。じゃ、高級なお茶でも買っとくよ。」

「それは楽しみだな。」

息子さんが痺れを切らして窓を開けた。

「母さん!予定が詰まってるんだから話はまた今度にしなよ。いつでも会えるんだから!!」

「はいはい。感傷も情緒もない子だよ。まったく……。」

ヤスエばあちゃんの門出は、ほんのり暖かい秋の日差しに見守られ、いつもと変わらぬ日常のように過ぎた。

「ヤスエばあちゃんらしいな。」

寂しくても、ユノはずっと笑顔だった。
部屋に戻ったら、チャンミンが真っ赤な顔でキュウタロウに詩吟を唄わせようとヤスエばあちゃんの真似をしていて、吹き出してしまったくらいだ。

チャンミンの努力むなしく、キュウタロウは「あん!あん!」がお気に入りだ。「あん」だけならまだしも、固有名詞は困る。

「どうしようユノ。商店街でこんなの真似されたら、僕とユノがセックスいたしてるのが丸わかり……。」

「ははは。それはさすがに笑えませんね。」

「笑ってるじゃない!」

「うーん。チャンミンの喘ぎ声を日向町の皆さんに披露するのは俺も嫌だしな……。あっ、ドラえもんの歌でも覚えさせますか。」

「あんあんあん……なるほど。妙案だよユノ。」

チャンミンは歌い出した。

「あんあんあん♪とっても大好き……♪」

ユノも一緒に歌う。

「とっても大好き、チャンミーンさん♪」

「ちょっと!それじゃダメだって!!」

ユノは口を塞ごうと伸ばされたチャンミンの腕を捕まえ、「とっても大好きなんです。」と唇を奪う。

「ユノ……。」

「チャンミン。このまましちゃう?この時間ならメゾン・シムには俺達しかいないし。」

「ムカイさんは?」

「車がないの確認済み。」

「いつの間に。ユノ……ヤスエばあちゃん見送るために休み貰ったんだよね。」

「それはもちろん。でも、平日の昼間のメゾン・シムでイチャイチャするのもいいなぁと。」

「もう………あ……ん……あんっ!」


キュウタロウの「あん!あん!」は更に上達し、チャンミンの声そっくりに仕上がった。

お陰で、介護付きアパートに行く時も、魚屋に行く時も、チャンミンは気が気じゃない。
キュウタロウが「あんあん」と鳴き出したら、即座にドラえもんの歌を大声で歌ってかき消さなければならない。

「チャンミンさん。そんなにドラえもん好きだったんですか。」

「……そうです。」

キドに苦笑されながら、チャンミンは芸人みたいに商店街で歌を披露するのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ポチっとしてくださる皆様。
心温まります。
ありがとうございます!

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト



コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

コールドブリュー

Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

フリーエリア