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メゾン・シムの住人 60

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メゾン・シムの住人
60


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12月24日(火) 13:30
晴れ


今日はクリスマス・イヴ。
そして、僕の誕生日。

ユノは夕食は海辺のレストランに食べに行くから作らなくていい、ケーキも買うなと言い残して仕事に出掛けた。

今日が僕の誕生日だってユノは知ってるのかな。僕は小さい頃から、この日に生まれたことが嫌で仕方ない。
誕生日とクリスマスのお祝いを一緒にされて、損した気分になる。

プレゼントだって1個しか貰えないんじゃ割に合わない。2個分だなんて、都合のいい解釈はできないのだ。

でも、今年はそんなことはどうでもいい。
重要なのは明日だから。

レン君のお父さんと連絡を取るようになって、彼らがこの数年抱えていた苦しみが、どんなに深いものだったかよく分かった。

お父さんにしてみたら、ユノに奥さんとレン君の心を奪われたも同然。ユノが居なくなってからも、疎ましさと申し訳なさの狭間で葛藤していた。

明日レン君と再会した時、ユノがどんな反応をするかちょっぴり不安もあるけど、きっとユノなら大丈夫。
ユノはたくさん奇跡を起こせる人だ。
人を幸せにできる人。


昨日テミン先生からも連絡があった。
ユノの写真に書き込まれたコメントが知らない間に消えていたと。

犯人はレン君かもしれないし、お父さんかもしれない。でも、もう誰だっていい。ユノを悪く言う気が無くなったんなら、それでいい。

冬の寒さが嫌いな僕が、この1ヶ月こんなにあったかい気持ちで過ごせたのは、ユノとレン君のお陰だ。

今日は笑顔いっぱいのイヴを過ごそう。
そして、明日はもっと幸せになるんだ。


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チャンミンはいつもよりちょっと華やいだ日常を過ごした。

ヤスエばあちゃんとのお茶の時間は小さなケーキを食べ、クリスマスプレゼントを交換した。チャンミンは腹巻きをあげ、ばあちゃんは靴下をくれた。

商店街ではキドにサンタクロースの帽子を被らされた。キュウタロウの籠にも今日は赤いリボン。寒さの苦手なキュウタロウを気遣って、キドは専用のヒーターを店の前に置いてくれた。

18時過ぎに帰って来たユノは、顔が隠れるほど大きな真っ赤なバラの花束を抱えていた。

「わあー!!!ユノなにそれ!」

「ただいま。」

「凄い。こんな大きい花束初めて見た。」

「チャンミンへのクリスマスプレゼント。」

商店街のど真ん中でバラの花束とは。
盛大に照れ、唇を噛んで花束を受け取ったチャンミンにユノは吹き出した。

「あはは。帽子の色にぴったり。こんな可愛いサンタクロースじゃ、拉致される。」

「……そんな悪い子のところへはプレゼント持って行かない。」

「手厚く拉致監禁しますよ。身体中隅々まで大切に面倒みて。」

「ちょ、もう!変質者……恥ずかしいって。」

キドはクスクス笑い合うユノとチャンミンには慣れたもの。エプロンを外し、今夜は早く店じまいすると言う。

「今夜はスナックコミチでクリスマスパーティーがありますから、一番乗りしないと。」

「へー。ミチコママがセクシーサンタになったりして?」

「……そうです。あれは見物ですよ。」

キドは顔を赤らめ、魚臭い手をゴシゴシ洗う。

「もしかしてキドさんて、ミチコママのこと……。」

「意外……でもないか。ミチコママ化粧してたら美人だし。色気あるし。チャンミンほどじゃないけど。」

ふと、背後が騒がしくなった。

「この忙しい日に何がスナックよ!!あほ!どあほ!!バカ亭主!!」

スーパーの前で奥さんとご主人の喧嘩が始まった。スナックに向かおうとしたところで捕まったご主人がジタバタしている。

「キド君より先に行かないと!」

どうやらご主人とキドは、ミチコママを取り合うライバル関係らしい。

キドはニヤリと笑い、ご主人を尻目にプレゼントの包みを持って早足でスナックのある裏通りへと消えた。

「俺たちも行きましょうか。」

「うん。でもあの喧嘩、仲裁しなくていいの?」

「あれは思うに、2人ならではのイチャイチャでしょう。町の人達もにやついてるし。」

「あはは。そうだね。放置していいね。」

アパートに帰ると、ユノはスーツに着替え始めた。

「え!そんな正装で行くの!?」

「お祝いだから。」

「えー。僕そんなちゃんとした服持ってないよ。」

ブツブツ文句を言いながら、チャンミンは当初予定していたふわもこニットを諦め、身体にフィットするタートルネックにジャケットを羽織った。
いつものラフな服装とは印象が変わったチャンミンが美しく、ユノは目を細める。

「綺麗。品がある。」

「へへ。ユノも凄く格好いい。男前。」

「照れるな……。」

「あ、レストランに行く前にバラを生けていい?バケツに入れとくのも嫌だし。」

「じゃあ俺、車取ってくるよ。」

バラは手持ちの花瓶に入り切らず、チャンミンはモエの部屋に走って花瓶を借りた。
それでも足りずにコップにも差し、部屋中バラだらけ。
メゾン・シムの一室が、お城の部屋みたいに豪華になった。

車の前で待っていたユノにチャンミンは抱きついた。

「わ!大胆。」

「ユノ……ありがとう。」

「ふふ。まだこれからだよ。行こう。」

お姫様みたいにエスコートされて車に乗り、レストランではクリスマス仕様のコース料理を堪能する。

遅めに店に入ったユノとチャンミンが料理を食べ終える頃には、他の客は帰って2人きりになった。

照明が暗くなったと思ったら、キャンドルで飾られた大きなケーキが運ばれてきた。真っ白なケーキの上には、『Happy Birthday』の文字。

運んできたハルトは、満面の笑顔だ。
ユノが立ち上がって拍手し、チャンミンは恥ずかしいやら嬉しいやらで真っ赤になる。

「チャンミン。誕生日おめでとう!!」

「ユノ……知ってたの……。」

「最近謎だらけのチャンミンだけど、それくらいは分かってるよ。」

「こんなに大きいケーキ……食べきれないよ。」

「いいから早く願い事して吹き消して!」

「うん。」

目を閉じてチャンミンは祈った。

『ユノが過去から解き放たれて幸せになれますように。明日はもっといい日になりますように。』

ろうそくを吹き消したチャンミンは涙ぐんでいて、それを拭ってくれるユノの指先が嬉しくて余計に涙が出た。

「……ユノ……僕ばっかり貰い過ぎだよ。」

「チャンミンいつもありがとう。俺甘えてばっかりだから、全然足りないよ。」

ホールのケーキをナギサがカットして4人で食べた。残りは持ち帰って食べてねと箱に入れてくれる。
明日も続く幸せの前兆に思え、チャンミンは箱を抱き締めて喜んだ。



帰りがけ、ハルトがユノにウィンクしながら空を指差した。

「今夜は寒いけど空が綺麗だよ。庭からちょっと眺めていけよ。」

レストランの照明が落とされ、2人の頭上に満点の星空が広がった。

「うわぁ……。」

「すごい……綺麗……。」

「宝石散りばめたみたいだね。」

「チャンミン寒くない?」

「……あのさ。車の中にユノへのプレゼントのマフラーあるんだ。取ってきていい?それ巻いてさ、ここで星を眺めたい。」

1つのマフラーを巻いて肩を寄せ合い、2人は空を見上げた。チャンミンの指を撫で、ユノが耳元で囁く。

「チャンミンに……もう1つ渡したいものあるんだ。」

もう勘弁して欲しい。
こんなに貰ってばかりで、嬉しくてどうにかなりそう。

困り顔のチャンミンに微笑み、ユノはスーツのポケットからあからさまに中身が分かるケースを取り出した。

「付き合ってる証が欲しかったから。これ、はめて欲しい。」

細いシルバーの指輪を、ユノはチャンミンの左手の中指にゆっくり差した。

「ユノ……。」

「薬指はまだとっておく。」

「もう……ユノ……!」

「チャンミン。誕生日おめでとう。これからも毎年、俺に祝わせてくれたら嬉しい。」

プロポーズみたいだった。
チャンミンはユノに抱きついて、がむしゃらにキスした。

唇をぴったり沿わせ、何度も「好き」と囁きながら。

チャンミンにとって人生最高のクリスマス・イヴと人生最高の誕生日は、同時にやってきた。




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コールドブリュー

Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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