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王子とシムの常夏ハネムーン 5

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5


抵抗を続けるチャンミンに、イ・スマン国王は思案した。

マーメイドは婚礼でイトゥク様とチャンミンを初めて見た時からの彼の念願なのだ。毎日人魚姿を想像していたため、今やビーチに寄せては返す波を見ると、尾びれをピタンピタンさせて手招きする2人が見える。

イトゥク様はさすがに諦めたが、せめてチャンミンだけは何としても現物で尾びれピタンピタンを拝みたい。できればその尾びれでビタンッ!と頬を叩かれたい。

「チャンミン王妃。着てくださるなら謝礼に色をつけます。」

「……上乗せですか?」

「焼酎1年分追加!」

「む……。」

「つまみにスルメも付けましょう。」

「うーん。」

「か、カルビ1年分も!」

「はいっ、はい!はい!!やります!!」

返事をしたのはチャンミンではなくシンドンだった。

「ちょ、シンドンさん勝手に決めないでよ!」

「わたくしはマネージャーです。仕事はマネージャーが取ってくるもの。タレントは黙ってらっしゃい。」

「タレントじゃねぇ、王妃じゃ!!シンドンさんはカルビ食べたいだけじゃないか!」

「四の五の言わずに着なはれ!!それと、隣国の王の前で、『じゃねぇ』なんて言うんじゃあひません!!」

「ちょっ!ひゃっ!やめて!」

「ほれこちょこちょ。」

「あっ!いやん!!」

「こちょこちょこちょ。」

「あーーーれーーー!!」

こんな風にシンドンに女装させられる光景をどこかで見た記憶がある方もいらっしゃるだろうが、これは探偵物語ではない。念のため。

こちょこちょ攻撃によりチャンミンは息絶え絶えで床に転がった。
「なんか卑猥。今度ベッドでこれやろ……♪」とユノユノが思ったかどうかは知らないが、シウォン様並に鼻息の荒いシンドンにより、国王と共に部屋から追い出された。

「覗いてはいけませんよ。」と意味深に扉が閉められた後、室内は異様に静かだった。

あれほど抵抗したくせに、持ち前の美意識高い系男子の本領を発揮し、チャンミンが無言かつ集中して化粧に取り組んだためだ。
カツラのセットまで自分好みに修正する熱の入れようだった。



「……ふぅ……お待たせしました。」

ようやく扉が開いた時、部屋にはアコヤ貝の中から現れたかと錯覚しそうな真珠の輝きをまとった美女が立っていた。

「ぶっ!」
「ぶぶっ!!」

変態達は鼻血流出の危機を感じて鼻を押さえた。

恥じらって顔を横に向けたまま、指をイジイジさせているマーメイドは、長い金髪を緩くまとめて左肩に流し、プルメリアの白い花を耳にかけている。

髪で隠れがちな貝殻ビキニもさることながら、高い腰の位置から伸びた虹色の鱗と尾ひれまでの長さがスタイルの良さを強調している。

イ・スマン国王はチャンミンの手をがしっと握り、涙ぐんだ。

「チャンっ……チャンミン王妃!!!す、す、す、素晴らしい!!」

足を動かせないせいでモジモジしている様に見えるチャンミンだが、心の中では「そうでしょう」とほくそ笑んでいた。

ユノユノはと言うと、最初こそ興奮したものの、違和感の方が勝って無言だった。

カツラ無い方が可愛い。
無理に女っぽくしなくてもチャンミンは十分綺麗なのに、やり過ぎだ。

「王子……どう?」

長い金髪を耳にかけて小首を傾げるチャンミンに曖昧な笑みを向け、「うん……まぁ……いいんじゃない。」と答える。
当然ユノユノがべた褒めしてくれると思っていたチャンミンは拍子抜け。急激に恥ずかしくなってきた。

「もう脱いでいいですか!!こんな衣装着てられっか!!」

突如機嫌を損ねたシムマーメイドに、国王とユノユノはまたも部屋を追い出されたのだった。

マーメイド衣装を脱いでも、チャンミンのご機嫌は芳しくない。
イルカショーは水族館の大人気イベントで、プールを囲む観客席は立ち見が出るほどの人で溢れている。
ショーだけでなく、ユノユノとチャンミンにも視線が注がれているのに、王妃の眉がつり上がっているのはいただけない。

カツラを被ったせいで、少しボリュームが落ちたチャンミンの髪をユノユノは撫でた。

「どうしたのチャンミン。ほら、笑顔。」

「ふんっ!」

「膨れっ面も可愛いけどさ、笑顔が1番なんだから。」

「ふんっ!ふんっ!!」

「そんなにマーメイド嫌だった?」

「……ぷん!!」

「へへへ。やっぱり可愛いなぁ。」

指を入れて髪を持ち上げ、ユノユノがこめかみにキスすると、歓声があがった。

「おお。さすがユノユノ王子。サービス精神溢れますな。是非もっと皆を楽しませてやってください。」

「え、いいんです?」

「我がSMカントリーでは、イチャイチャは大歓迎です。」

イ・スマン国王のお言葉に甘え、ユノユノは膨れっ面チャンミンにチュウと口づけた。唇が吸引される熱いやつだ。

「うおおおーーー!!!」

場内大歓声。
チャンミンは真っ赤になり瞳を潤ませ、大胆なユノユノのしたり顔を見つめる。
斜めだったご機嫌はどこへやら、男らしさに胸キュンしてしまう。

もう……いやん……。王子のバカ。
こんな人前でキスするなんて。

「チャンミンのこと大好きだから、いつもキスしたくなっちゃうんだよ。」

「きゅう……。」

ピュア王子の変貌はめざましい。
マーメイドがヒットしなかったショックは帳消しとなり、チャンミンは危うく失神しかけたが、いきなり大きなジャンプを見せた3匹のイルカの登場によって、意識を取り戻した。

タイミングを合わせた連続ジャンプで水飛沫が客席まで跳ねる。観客は大喜びだ。

「わぁ!!」

快晴の夏空に吊るされたボールまで、垂直にジャンプしたイルカの背中がキラキラ光る。これでもかとジャンプを披露するイルカ達に夢中になっていたら、目の前のステージにシャチが飛び出した。

「うわぁ!!カッコいい!!」

ユノユノも大興奮していた。

シャチは巨体をステージに乗せ、近未来的なウェットスーツで全身を覆ったトレーナーの手に口先でハイタッチする。
ユノユノもチャンミンも、本物のシャチを見るのは初めてだった。黒白の模様と滑らかな曲線が美しい。

「ほぅ」と感嘆を漏らしたユノユノに、イ・スマン国王がしたり顔で囁いた。

「まさに海の王者でしょう。」

海の王と言えばTBの母を思い出してしまうが、腹回り10メートルを超えるずんぐり体型の母と違い、シャチはシャープな身体を弓なりにして観衆の拍手を一身に受ける。

「シャチもいるなんて。SMカントリーは素晴らしいですね。」

「ふふ、ショーはまだまだこれからですよ。」

トレーナーの合図で水中に潜ったシャチはなかなか出て来ない。スタジアム内は期待でざわざわした。

と、次の瞬間、水中から飛び出したのは2匹のシャチ。

「えーっ!!わぁー!!」

チャンミンは子供みたいに両手をパチパチして喜んでいる。
ユノユノは開いた口が塞がらない。
イ・スマン国王は真面目な顔でユノユノの手を握った。

「実は王子には、シャチに乗っていただきたい。」

「はい?」

「王妃はマーメイド、王子は海の王者に跨がる!ああ!我ながら完璧な構想!素晴らしい作品が撮れそうだ!!」

「はいぃ??」

「まさに女神と王者。広報大使としてこれ以上のものはありません!!」

すかさずシンドンが手をあげた。

「王子も出演となると、話が異なります。謝礼はおいくらですのん?」

が、がめつい。
付き人なのか、メイドなのか、ばあやなのか、そして男か女かも怪しいシンドンに迫られ、イ・スマン国王は仰け反った。

最初の料金で2人分のつもりだったが、国王のプライドはシンドンに味方する。

「……1.5倍。」

「王妃より少ない額ではねぇ……。」

「ど、同額!」

「困りますわ。ユノユノ王子は次期国王でございますよ。」

「も、勿論それだけではない……ハラミとビール1年分!」

無言で続きを待つシンドンに国王は躍起になる。

「それ……を……お城の皆様分!!」

「はい、乗った!!」

ユノユノがぽかんとしている間に、契約は成立した。





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東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
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