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王子とシムの常夏ハネムーン 19

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19


「王子ー!!ユノユノ王子ーーー!!!」

砂浜に倒れたイ・スマン国王とテミンを介抱していたユノユノの耳に、懐かしいばあやの声が届いた。

王宮からビーチを目指して走って来るのは、シンドンと胸に抱かれたTBちゃん。
その後ろには、頭をさすりながら歩くドンヘの姿も見える。

「シンドン……全然痩せてない……。」

「ええ。ダイエットできるかと思ったのに期待外れでした。」

「……でも胸は小さくなったね。」

「……まぁそれはそうなんですけど、代わりにお腹が出まして。いつもより食べてなかったのに、寝てばっかりいたせいかしら。」

「……ん…でもさ、とにかく無事で良かった。」

「ええ。トイレから皆さんが飛び出したのには驚きましたが。」

「トイレ?」

「丁度トイレの下を掘ってらっしゃったようです。そこへ、水が押し寄せてドカーンと。便器もろとも間欠泉のように。」

「わ……。」

ユノユノはちょっとそれ見たかったなと思ったが、不謹慎なので黙っておいた。

「イェソンさんはウクたんを抱えて見事に着地なさったんですけど、ドンヘさんなんて便器と一緒に壁に突き刺さりまして。まあ、おかげで穴が空いて、出られました。」

「それで頭痛そうにしてるのか……。凄い石頭なんだね。壁を破るなんて。あれ……イェソン先生とウクたんはどこへ?」

「イェソンさんがトイレ臭いウクたんなど耐えられないと発狂されまして、シャワーを浴びに。それと、もぐらを畑に返しに行かれるとか。」

もぐらさんに申し訳ないことしたな……。後で焼酎届けなきゃ……とユノユノが思ったところで、ようやくドンヘが到着し、辺りを見回した。

「ウニョクはどこ?」

「あ……。まだ地下から戻って来てません。」

ドンヘの顔がみるみる険しくなり、血の気が引いていく。

「地下は水が溢れてるのに!?まさかトンネルで溺れてるんじゃ!」

「え!魔法使いさんって、溺れたりするんですか?」

「王子!!俺達は長生きなだけで不死身じゃないんです!!」

落とし穴を覗き込んで、「ウニョク!!ウニョク!!」と、あらん限り叫ぶドンヘは、いつもの朗らかな顔が嘘の様に、男らしいイケメンだった。

上半身裸になって穴にダイブした彼にシンドンは痺れたが、かっこ良かったのはそこまで。
ドンヘの顔面は、ぽかんと浮かんできたお尻にぶち当たった。

「ぶへっ!」

ボールみたいに浮いたお尻は、そのままビーチに押し上げられた。
ドンヘはその身体を抱えて泣き喚いた。

「ウニョク!!死なないで!!後100年は一緒に居て!!」

ウニョクは死んでなどいない。
ドンヘの声が大き過ぎて顔をしかめ、片目を開けた。

「……ドンヘ……うるさい。」

「ウニョクーーー!!」

ぎゅうぎゅう抱き締められたウニョクは、迷惑そうだがちょっと嬉しそうに笑っている。

「下が水でいっぱいになっちゃって焦ったよ。でも、ベルーガが助けてくれた。」

「ベルーガ?」

再びぽかんとお尻が浮かび上がる。

「あっ!ミノさん!」

チャンミンが引っ張り上げると、ミノはどさくさに紛れて抱きついた。

「むっ。」

ユノユノは嫉妬でモヤモヤしたが、顔を出したベルーガのほんわかフェイスのお陰で事なきを得た。

『こんちには王子。』

『ベルーガさん!水槽から出られたんですね!』

『ああ。貯水槽から溢れた水がトンネルを満たしたから、ジャンプして泳いできたよ。』

ベルーガの声を聞いた途端、TBちゃんがきゅうきゅう騒ぎ出した。

「きゅきゅう!!きゅう!」

TBちゃんの言葉にユノユノはびっくり仰天。

「へ!?お父さん!!??」

「きゅうーーー!!!」

ベルーガもつぶらな瞳を見開いた。
その顔を見つめ、ユノユノは納得した。

ベルーガの黒くて丸い、ちょっとおとぼけた優しい瞳。それに、キュウキュウ鳴く声はTBちゃんそっくりだ。

お父さんはサメでもシャチでもなく、ベルーガだったのだ。

『あなたがオーロラ王……。』

ユノユノに返事する代わりに、ベルーガは大きなおでこをぶるんと動かした。
シンドンがTBちゃんをおでこに乗せると、もうTBちゃんの「きゅう!きゅう!」は止まらない。

頭の上で喜んでいる熊。
オーロラ王は信じがたい気持ちだったが、声は間違いなく我が子のもの。

5000年の間に何があったのか。
タイガーシャーク(Tiger shark)とベルーガ(Beluga)のハーフであるTBが何故に赤茶けた熊の人形になっているのか父には皆目見当もつかない。

TBちゃんそっくりな困惑顔になったオーロラ王に、ユノユノは説明した。

『TBちゃんは私の前世からの親友です。その縁で、私が生まれた時から傍に居て添い寝してくれたんです。あ、人形になっているのは、お母様の魔法の力を継いでいるからでして。』

説明は間違っていないが、理解しがたい。

ますますオーロラ王が困惑顔になった時、TBちゃんが「きゅうきゅるる~♪」と鳴いた。

みるみるオーロラ王の瞳に涙が溢れ、水面に落ちて小さな波紋を作る。

『間違いない!!TBだ!!』

「きゅう!!」

TBちゃんは生まれて間もない頃、「キュウキュルル」と子守唄を歌ってくれた父の声を忘れていなかった。
父の顔はおぼろげでも、その子守唄だけは幼いユノユノの傍らで毎夜思い出していた。

オーロラ王は甘えるTBちゃんにちゅっちゅとキスし、ユノユノにもキスした。

『ありがとうユノユノ王子。何もかも、君と出会ったおかげだ。水槽から出られただけでなく、我が子に再会できるとは。』

『いえ。オーロラ王とは存じ上げず、恋の相談などして失礼しました。』

『……お相手はあちらの人魚かな?』

『あ、いえ。あれは母です。』

『失礼。確かに随分年上だな……。』

オーロラ王は視線を泳がせ、シンドンを凝視した。若い王子を嫉妬させる美女とはイメージと随分違うが、見た目で判断してはいけない。

『となると……あちらのメイド服の?』

『あ、いえ。あれは私のばあやです。』

もう女性らしき人は見当たらない。

ミノを押し退けてパンパンとお尻の砂を払っているブーメラン海パンのチャンミンをユノユノは目線で示した。

オーロラ王は『男やないかーい!!』と思ったが、平静を保ってキュルキュル鳴いた。

そう。見た目で判断してはいけない。
自分だって、おおらかさと優しさに惹かれてサメに恋したのだから。

『あちらが私の最愛の人、チャンミンです。』

『……うむ。素晴らしい美人だ。奥方を大切にな。私も最愛の人に早く会いに行かねば。』

『あ!そうですよ!!TBちゃんのお母さんが、海の王が心配されています。魔法の力が使えなくなる程ご心痛で!』

『そうだろうな。私もあれに会えず困っていた。ああ見えて寂しがり屋で可愛いのだよ。だが生憎、海と切り離されてしまって連絡手段もなかったのだ。』

『早く安心させてあげてください。それに、もう少し頻繁に会って差し上げては?』

『そうだね。彼女も王として忙しくしているから遠慮していたが、君と話していたら出会った頃を思い出したよ。今は一刻も早く会いたくて堪らない。』

オーロラ王はそう言うと、海に顔を向けた。

『TBも行くかい?』

「きゅ、きゅきゅ!」

『そうか。よし。家族団らんしよう。ではユノユノ王子。また会おう。』

オーロラ王はおでこにTBちゃんを乗せたまま、潮が満ちて迫ってきた海面にジャンプし、波間に消えた。


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東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
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