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夢の途中 10

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ミノは毎日ネックレスの受注数を見て興奮している。

「チャンミン!!今週だけで1300個受注入ったぞ!!」

「えぇ?」

「まだ伸びてる!」

「そんなに対応できるの?」

「いや、まずい。2000個のつもりだったけど、2500は必要だったな。追加要請しないと。あはははは!!」

ミノは高笑いが止まらない。

「凄いぞチャンミン。これだけで売上2000万は確実だ。」

「ぼ、僕の1回分の物販の売上くらいある……。」

「ユノさんのせいでコンサートの利益ほぼなしだからな!物販で利益出すぞ!!」

重いプレッシャーがチャンミンの肩にのし掛かっていた。
それでも、チャンミンは楽しかった。

ユノが頑張っているから自分も頑張る。
ユノが隣で走っているなら何でも出来る気がする。

ユノが初めて監督を勤める夢の舞台を、お客さんだけでなく事務所にも認められる大成功に終わらせなければ。

チャンミンの頭の中は寝ても覚めてもコンサートのことで埋め尽くされ、いつもは睡眠に充てていた移動時間も目が冴える。

ユノが居ない時は、食事中ですら常時イヤホンをしてセットリストに沿って作られた音源を聴き込み、ステージのイメージを身体に叩き込んだ。

物販のサンプルが出揃うと、全品自分が紹介すると言って無理やりスケジュールを開けて撮影に参加し、ホームページに掲載する原稿まで関与した。

何の疲労も感じない。
やればやるほど、のめり込む。


ツアー初日まで1ヶ月半となったその日、歌番組の収録で遅くなり、深夜にベッドに入ってきたチャンミンの頬に手を添えて、ユノは眉を下げた。

「チャンミン。熱ある。」

「え?そう?」

「あるって!今日の収録大丈夫だったのか?」

「少しだけ喉痛いけど、声には問題なかった。寝れば治るよ。毎日ケアしてるし。」

ユノは首を横に振り、体温計をチャンミンの脇に突っ込んで抱き締めた。

「もう……そんなことすると体温上がる。」

「チャンミン痩せ過ぎだな。」

「予定通りだよ。ツアーに向けて絞ってるんだから。」

「痩せたって言うよりやつれた。」

「そんな……。お肌の管理もしてるんだけどな。」

ピピピっと体温計が鳴り、取り出したユノは顔を歪めた。

「明日の予定は?」

「朝からぎっちり。」

「ミノさんに電話してくる。明日は休め。」

「何で!大丈夫だって!」

「大丈夫じゃない!見ろ!」

ユノがチャンミンに示した体温計は38度を越えていた。

「とにかく電話してくる。」

ユノが離れた瞬間、チャンミンは寒気に襲われてブルっと震えた。

気持ちが高ぶっていて、自分の体調も理解できていなかったのか。
撮影の間は少し顔が火照るくらいで、高熱などなかったはずたが、帰りの車で突然眠くなったあたりから、熱が上がっていたのかもしれない。

寝室に戻ったユノは、フカフカのフリースを着せ、解熱剤とスポーツドリンクを飲ませてから胸に抱いて包んだ。

「明日ミノさんが来て病院連れてってくれるから。インフルエンザ流行ってるし、どっかで移ったのかもな。」

「予防注射したのに……。」

「タイプが違うんじゃないか?ずっと頑張り過ぎてるから不安だったけど、案の定だ……。」

「ユノより寝てるつもりだけどな。」

「足りてないだろ。俺の疲労とチャンミンとじゃ比べ物にならない。演者と裏方じゃ、プレッシャーも桁違いなんだし。」

「楽しくやってるよ……。」

ユノはチャンミンの髪を優しく撫で、ふぅと息を吐き、背中を撫でて眠りを促した。

「寒くなってきた。」

「部屋の温度上げる?」

「ううん。ぎゅっとしてて。」

「してるよ。」

「もっと。」

甘えるチャンミンを強く抱き締め、ユノは出会った頃を思い出していた。

名前も素性も知らないのに、放っておけずに抱き締めたのは、外見の美しさのせいもあるが、甘えられて堪らなくなったせい。

この可愛さにやられた。

「甘えん坊。」

「ふふ。」

「目、冴えちゃってるのか?眠れない?」

「ううん。こうしてくれてたら眠れそう。」

ユノは枕に凭れて上半身を起こしたまま、胸に頬を寄せるチャンミンを包んで朝まで過ごした。

眠りについてから、チャンミンは額から汗を垂らして「う……ん……。」と呻いていて、ユノは落ちそうになっては目が覚める、を繰り返す。

汗の量が尋常じゃない。
しっとりしてしまったパジャマを途中着替えさせたけれど、「うーん。」とか言いながら、胸にしがみついて元の体勢に戻ったチャンミンには萌えてしまった。

不謹慎ながら、嬉しい。

ようやくユノも眠りについたのは明け方で、ミノがインターホンを鳴らしても気づけなかった。


ミノは被害者だ。
立場的にはチャンミンの世話など若手に任せたいところだが、ユノとの関係が複数人にバレることは避けたいと、送り迎えまで対応している。

インターホンを押してしばし待ったが返事はない。仕方なくユノにも電話をかけたが留守電に切り替わる。

「だー。出ねぇ!」

エントランスで悪態を吐いたミノは、高熱を出したチャンミンへの心配と、まさかイチャイチャしているのではとの危惧の交ざった複雑な心境で部屋に入った。

リビングは無音。
テーブルに置かれたスマホがピカピカ受信を告げていた。

ユノさんめ……。
充電しろ。

「まだ寝室かよ。はぁ……。」

こちらにやましいところはないはずだが、廊下を抜き足差し足で抜け、寝室の扉をこそっと開く。

「お、お邪魔します。」

隙間から覗いてもベッドが見えない。

「チャンミン。大丈夫か?病院行くぞ?」

小声で呼び掛けながら、ミノはバカらしくなった。
今さら何を遠慮しているんだ俺は。
インターホン押しても電話しても出ない方が悪い。

そう胸の中で呟き、思いきってドアを開いてミノは息を呑んだ。

ベッドの上のユノとチャンミンが、あまりに綺麗だったからだ。

首まで白い布団にくるまったチャンミンの肩に手を添えたまま、白いパジャマのユノがベッドのヘッドボードに凭れて眠っている。

サイドテーブルに置かれた加湿器が蒸気を吹き上げ、PVの中で作り上げられた芸術みたいだった。

高熱があると聞いたのに、チャンミンは安心しきった顔で寄り添い、ユノも幸せそうな寝息を立てる。

「あの……。」

先に目を覚ましたのはチャンミンだった。

「……ユノ?」

ミノに気づかず、顔を上げたチャンミンがユノのはだけた首もとにそっと口づける。

「ん…………チャンミン……熱……は?」

目を閉じたまま、ユノはチャンミンの頭を撫でて額に手を当て、「まだ熱あるな。」と呟いて眉を下げる。

チャンミンはユノの手を掴み、眉を下げた。

「ユノも、熱い。」

「ちょっと……朦朧とする。」

「……どうしよ。移ったかな。」

体温計に手を伸ばそうとしたチャンミンは、ミノとばっちり目が合ってフリーズする。

「お、おはよう。ミノ。」

「お、おう。」

高校生みたいな挨拶をしてしまったことが恥ずかしくて赤面したミノにとって、その日はどうやら厄日らしかった。

でかい男2人を病院に連れていき、診察の合間に今日のスケジュールの調整に追われた。

チャンミンは案の定インフルエンザ陽性で5日の外出禁止。ユノも検査にはまだ早い段階であるものの、インフルエンザだろうと医師に告げられた。

2人揃ってインフルエンザとは。

「この忙しい時期にやってくれたな。」

睨みをきかせたミノに、ユノとチャンミンはシュンとしてベッドに収まった。




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東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
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