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祓い屋リノベーション Rebirth 14

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祓い屋リノベーション Rebirth
14


カラカラと引き戸を開けてチャンミンが玄関に入ってきた時には、もう看護師さんは居なかったが、チャンミンの般若顔はそのままだった。

「ちゃ、チャンミン?」

「ユノ。いつの間にナースと隠れて会ってたの?」

「………誤解だ!誤認だ!!」

「あぁん?」

な、なんて目だ。
昔はこんなに怖くなかったのに……。
歯茎まで剥き出しそうじゃないか。

「詳しくお話を聞かせて貰います。」

「何もないって!話せることすら!」

顎をくいっと上げて俺に「居間へ行け」と指図したチャンミンの後に続いて歩く。

俺の災難……と言うか大モテ期は、この後も留まるところを知らないのだった。

チャンミンに促されるまま居間の床に正座した俺の上着のポケットから、場違いに明るい音色が鳴り響く。

「仕事の電話かもしれないので、出ていいか……いいでしょうか。」

「本日は土曜だから出なくて結構。スマホはこちらに渡してください。」

くいくいと人差し指と中指を曲げて催促するチャンミンの手に乗った画面に、『ミウちゃん』と表示されている。

「あ……。出た方が……何かあったのかも……。」

「ユノ……。いつの間に個人携帯教えたの。」

「会社携帯教えるだろ普通!依頼者だぞ!!」

「……ふん……僕が出る。」

スマホをタップして耳を当てたチャンミンの顔は、更に引き攣り、般若を通り越して夜叉みたいになった。

「ユノさんに相談したいことがあるんですぅ。2人っきりで会えませんかぁ??と仰ってます。」

チャンミン。
ぶりっ子女子の真似が上手いとは知らなかった。
……なんて、感心している場合じゃない!

チャンミンは勝手にミウちゃんと会話を始めた。

「何かあったのでしょうか?」

「……はい。チャンミンです……。はぁ。へぇ……。」

「ユノは生憎、手が離せない局面に……。お会いするなら僕が行きます。」

「え?いい?」

「そうですか。では、失礼します。」

電話を切り、きつく俺を睨むチャンミンの手元から、再び呑気な着信音が発せられる。

「カノンちゃんまで……。」

会話が分からないでは拉致があかない。
チャンミンからスマホを奪い、俺はスピーカーをオンにした。

「はい。東方不動産のユノです。」

「あ……ユノさん!!カノンです!!」

「どうかされましたか?」

「サオリの様子が変なんです!今すぐ来てくださいーー!!ユノさんに会えないなら死ぬって言ってます!!」

「なっ……。い、今すぐ向かいます!」

さすがにこう立て続けとなると、チャンミンも夜叉になってばかりいられない。
俺にちらっと視線を送り、ため息を吐いた。

「これって……ユノの推理と……。」

「だから言ってるだろ!!何かの呪いに違いない!!俺にはやましいところはないっ!!」

「ユノにやましいとこがないことなんて分かってるよ!!」

なんだ。
夜叉の形相でも可愛いじゃないか。
ぷりぷりしているチャンミンを引っ張り、会社で社用車を借りて俺は練馬へとひた走った。

しかし、練馬の家に入るや、俺はカノンちゃんから熱烈な抱擁を受けた。

「わーーーっ。さ、サオリちゃんは??」

「サオリがおかしいってのは嘘です!私がユノさんに会いたくてぇ!!」

「なっ!!」

カノンちゃんの手が俺の股間をサワサワ撫でる。
なんだか、目力のせいでシウォンにサワサワされている心境になる。

「ユノから離れろっ!!淫乱女ーーーっ!!」

「いやよ!離れない。ユノさん抱いて!!!」

これは……。
デジャヴュ的なものだろうか。
前にもこんなことが幾度かあった。前と言っても、2000年前だが。

俺との婚姻を望む娘達の熱烈なアピール。
2000年の時を経てもなお、呪いとして再燃するほど、熱い思いだったと?

俺が自らの頭に浮かんだ推理を、「自惚れるな。」と自制した時、サオリちゃんが玄関から入って来るなり、手にしていた買い物袋を落として叫んだ。

「ユンホ様!!やっと来てくださった!!」

「ゆ、ユンホ様??さ、サオリちゃんまで……。」

「ユンホさまーーーっ!!抱いてーーーっ!!」

もはや疑いようもない。
自惚れでもなんでもない。
今目の前で俺を求めて悶ているのは、トンバン国の娘達だ。

サオリちゃんが上着を脱ぎ捨て、ブラのホックまで外そうと後ろに手を回す。
大人しそうなのに、意外にも真っ赤な透けすけレースのブラジャーとは……。

「サオリちゃん!やめろって!!」

「サオリ!!抜け駆けしないで!!私が抱かれるの!!」

「駄目よ!!私よ!!!」

ミウちゃんも2階から駆け下りて来て、胸をさらけ出す。ブラジャー姿の女の子が迫りくる奇々怪々な状況となった。

止めようにも、裸の女性に触れるのは憚られるなと思った時、これまた意外にも静かに壁と同化していたチャンミンが一歩前に出た。

むんずとサオリちゃんの腕を掴み、目にも止まらぬ速さで往復ビンタを炸裂させるや、「えいっ!」と叫んで肩を叩く。

「うわ……。」

さっきも看護師さんに往復ビンタを?
傷害で捕まるぞ。

呆気にとられる俺の前で、チャンミンは住人を次々捕まえ、ビンタからの「えいっ!」でなぎ倒した。

「ちゃ……チャンミン……。」

「ふぅ……。つまらないものを祓ってしまった。」

最後に前髪をツンツンと指で整えて決め台詞を吐いたチャンミンの前に、へたり込む3人の女子。

俺のモテ期は、あっと言う間に終焉を迎えたらしい。
ちょっと気分良かったのに残念だ。


うら若き女子達をどうしたものかと思っていると、背後からしわがれた声がした。

「まったく……若いもんは嫌だね。すぐさま抱いてだなんて……乱れてる……。」

「え!?」

玄関の扉の前に、ばあちゃんが立っていた。

「ばあちゃん!てっきりまだ帰って来ないかと!あ、これで、お祓い終わったってこと?」

「今日はおまけだよ。肝心なところは既に終わってる。」

「へ?」

「昨日夜通し祓ってただろ。」

「は??夜通しって……それ……。」

「い、言わなくていいよユノ!あんた達のお祓いの方法は見ちゃいられないからね。逃げといて良かった。」

「……ばあちゃん……ちゃんと説明して。」

「手のかかる子達だよまったく……。説明の前に、まずは可哀想な女の子を世話してあげな。ユノに迫った記憶は残っちゃいないだろ。チャンミンのビンタは強烈だから。」

ばあちゃんに指示されるまま、俺とチャンミンはブラジャー姿の3人に服を着せて頬を冷やした。

3人ともぼーっとしていて視点が定まらない。何を話しかけても上の空なのは、およそビンタのせいではないだろう。

「一晩眠れば正気に戻るだろ。ユノが近くに居ない方がいい。ここはお暇するよ。」

何が何やら分からぬまま、スタスタ歩くばあちゃんの後をチャンミンと追う。

車をそのままに、ばあちゃんは大学の門をくぐり、林の中の広場まで来ると、辺りを見回した。

チャンミンと桑の木を探し歩いた時、ここは通った。
広場の端にぽつんと井戸があるが、レンガ造りの洋風な仕上がりで、周囲は花壇になっている。
ピンクの紫陽花が美しく咲き誇り、平日は学生の憩いの場になる。

「ここが、北の神殿があった場所だよ。」

「まさか……これ……神殿の井戸……。」

チャンミンは井戸に駆け寄り、中を覗き込んだ。
木板で蓋がされているが、端に穴が開いている。

「今でも中に水が?」

「うーん。暗くて見えない。」

身を乗り出して隙間を凝視するチャンミンと並び、俺も身を乗り出した。

「梅雨時だからね。」

ばあちゃんが背後で呟いた次の瞬間、チャンミンの脚が宙に浮いた。

「えっ!」

「わっ!!ばあちゃん!?」

「ぎゃーーーーっ!!」

「チャンミン!!」

ばあちゃんに持ち上げられたチャンミンを咄嗟に抱き締めたが、時既に遅し。
俺達は頭から井戸に突っ込んだ。

俺の石頭のせいか、蓋はずぼっと抜け、真っ逆さま。

バッシャーーーン!!

激しい水しぶきの向こうに、ばあちゃんが手を振っているのが見えた気がするが、定かじゃない。

真っ暗な井戸の中では視界は奪われ、水は凍えるほど冷たい。

「大丈夫かチャンミン!?」

「あ、頭……痛い……。」

俺もだ。
頭が割れそうに痛い。

バシャバシャしているチャンミンを抱き寄せた瞬間、脳の奥で何かが弾けた。
暗闇に灯る無数の白い光。

光はじわじわと広がり、頭の中が真っ白い光に包まれる。

これは忘れもしない……。
トンバン国の記憶を取り戻したあの時と同じ感覚だ。




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ホミン大好き

毎日、楽しく読ませてもらってます!ただ、少し面倒くさい所もあって残念です!でもチャンミンが凄く可愛いので楽しみに読んでます。ユノも中々面白くて良いです!
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Author:コールドブリュー
東方神起 ユノとチャンミンが大好き。
脳内妄想をこっそり綴っています。
ホミンのみ。

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